【 それは突然に 】
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【それは突然に =勝負はこれから?=】


あれは、吹き荒んだ嵐が止み、雲が晴れ、まぶしい光が差し込む
そんな一連の事を凝縮したような時間だった。

高瀬さんからの一連の事件の真実の告白。
それから、高瀬さんの友達の奏さんの登場。

そして、最後は梨江の過去の恋人の存在と別れの真実。

荒れ狂う大波のように押し寄せた出来事は、
真実が明らかになった瞬間に、波一つない穏やかな水面へと変化した。

梨江と奏さんとの間の真実。

奏さんと高瀬さんの絆。

そして、私と梨江。

全てが落ち着いたように思えた。

でも、私の中で、どうしても一つ疑問に思う事があった。


「何考えているか、当ててあげようか?」

ほぼ1ヶ月ぶりに、梨江の運転する車の助手席で
何も言わずに考え込んで居るとき、唐突に声を掛けられた。

「えっ?」

「奏は、避けていた高瀬さんにどうして今回の計画で協力を頼んだのか。
 そこが分からない・・・って思ってるんじゃないの?」

「えっ・・・、う、うん・・・どうして分かったの?」

「それは、私もそう思っていたから。」

「やっぱりそう思う?」

「まぁ、それは、あとで奏本人に聞けばいいわ。」

「えっ? 本人から?」

「そのうちにね。 今聞いても、どうせ本人は口を割らないでしょうから。」

「随分と奏さんの事、理解しているのね。」

「まぁね。伊達に奏の家庭教師をしていた訳じゃないから。
 あの子の性格は、案外分かりやすいのよ。でも・・・。」

「・・・でも?」

「今回は、色々としてやられたわ。子供って思っていたのにね。
 まったく、今時の子供の成長の早さといったら、嫌になるわね。」

「梨江・・・、その言い方って、ずいぶん年寄りっぽいわよ。」

「あはは! そうね・・・、気をつけなきゃ。」

たわいもない会話をするのも1ヶ月ぶり。
でも、本音は少し緊張していた。

奏さんと高瀬さんの計略にはまり、私はもう梨江とは
こんな風に話ができなくなると思っていた。

梨江への気持ちを自覚したと同時に、梨江に気持ちを弄ばれたと思い込んでいたから。
恋心を自覚したと同時に失恋を体験し、何を信じていいか分からなくなった。

今日、真実を知ったからといって、梨江とすぐに元の関係に戻れるとは思わなかった。
それは、私が梨江を避け、一方的に拒絶していた事には変わりなく、
梨江の誤解が解けたとしても、私が取った行動は許されるものでは無かったから。

「また、難しい顔してる。」

「えっ?」

「もうすぐ着くから、後でゆっくり聞かせてもらおうかな。」

「な、何を??」

「さぁ? 何かしらね?」

不適な笑みを浮かべて、梨江は車のスピードを少し上げた。

そうして向かったところは、梨江のマンションではなく、私のマンションだった。



「梨江の部屋と違って、本当に狭くて散らかっているから。」

「お邪魔します〜」

梨江の過去の話を聞いた後、高瀬さんは奏さんを連れて、部屋を出ていった。
私は梨江に背中に縋り付いていて泣いていた。

それからしばらくして、梨江の腰に回していた私の手を梨江が優しく解き、
向き合った後、

「今日は、家まで送るから。」

そう言われ・・・、そして現在に至る訳で。

「何が散らかっているよ。 綺麗な部屋じゃない。」

「辞めてよ。梨江の部屋とは、全然違うんだから。」

「そんな事ないわよ。キチンと整理されて、早紀らしい部屋だわ。」

「あまりジロジロ見ないでよ。恥ずかしいから。適当に座って。」

私の部屋は梨江の部屋とは違い、狭い1DK。
必要最低限の家具しか置いていなくて、女性らしい部屋とはほど遠いと思う。

「ねぇ、奧の部屋で話ししちゃダメ?」

リビングのテーブルで話をしようと思ったら、私の部屋で話がしたいと言い出した。
私の部屋はベッドと小さなテーブルくらいしかない。

「別にいいけど・・・。」

仕方なく、リビングに置いている電気ポットとティーサーバーとカップを
部屋のテーブルに置き、床に座るためのクッションをクローゼットから
出そうとしていた時、

「えっ?」

背後から、梨江に抱き締められた。

「り、梨江??」

驚いて、後ろを振り向こうとしたら、手を取られ、
あっという間に、ベッドに押し倒された。

「ちょ、ちょっと!!」

両手を頭の両脇に押さえつけられ、身動きができない。

「り、梨江!! ちょっ、ちょっと、ま、待って!!」

「待たない。」

低く静かな声で、私の声が一蹴された。

上からのし掛かられた梨江の瞳は、鋭く光り、心の全てを見透かされそうで怖い。

「り、梨江・・・・。」

私が何度も梨江の名前を呼んでも、梨江は何も言わず
ただ、私の瞳をじっと見つめている。

どうにか逃げようと両腕に入れていた力が、次第に抜けていく。
梨江に見つめられて、金縛りにあったように、自分の体に力が入らなくなり
私は抵抗できなくなってしまった。

私が抵抗しなくなったのを確認した梨江は、
徐々に顔を近づけてくる。

梨江の瞳に吸い込まれるように、私は目を閉じ、それを待った。

その後、唇には、私が期待していた感触は与えらない。
その代わり、額に、梨江の体温を感じた。

私たちは、額を合わせ、それから鼻先を擦り合い、
頬をすり寄せ、お互いの体温を皮膚で感じ合った。

大切な物の存在を肌で感じ合い、何度も何度も
その感触で、愛おしさを、時折肌に感じる吐息で、気持ちを伝え合う。

やがて、押さえつけられた梨江の手の力が抜け、
真上から、梨江に抱き締められた。

優しい暖かい梨江の温もりに包まれ、涙が溢れそうになる。

「早紀・・・・」

優しく耳元で名前を囁かれ、体に甘いしびれが走る。

「梨江・・・。」

ちゃんと名前を呼びたいのに、掠れた声しか出ない。
伝えたい言葉があるのに、伝わらないのがもどかしくて、
梨江の体を抱き締める力で、気持ちを伝える。


しばらくして、梨江が静かに語り出した。


「ごめんね・・・、早紀、ごめんね・・・。
 今回のこと、早紀を巻き込んで本当にゴメン・・・。」

「梨江・・・。」

「もうね・・・、もうダメかと思った。
 早紀が私から離れていってしまうって思うと、本当に怖かった。」

「梨江、わ、わたしこそ・・・ん゛っ!!」

私こそ、ごめんなさい!と言おうと思った瞬間。
梨江に唇を塞がれた。

「ぅ・・・ん・・・・ん゛・・・」

唇を塞がれ、息が出来ない。
苦しくなり、唇をゆるめた瞬間、ぬるりと柔らかく濡れた物が
唇の中に入り込み、私の舌に絡みついてきた。

「んん゛っっ!!」

口内で響く水音が脳裏に響き、体がさらに痺れる。
息を吸おうと唇を開けば開くほど、息ごと全て梨江に貪られる。

苦しかったけれど、貪欲に求められる事が嬉しくて
いつしか、自分からも梨江を求めた。

何度も何度も、向きを変えては唇を重ね合わせ、
吐息も、言葉も、気持ちも、全てを奪いたいと思うほどに相手を求めた。

お互いに息が切れ、額に汗が滲んで来た時、
目を開けると、先ほどまでと違う優しい瞳をした梨江と目が合う。

この優しい瞳が自分に向けられるのが嬉しかった。
この瞳を、他の人に向けて欲しくない、そう思ったのが始まりだった。

そして私は、梨江の事が好きだと自覚した。

「梨江・・・、好き・・・、私、梨江が好き・・・。」

梨江の瞳を見て、自分の気持ちを素直に伝える。

一瞬、梨江が驚いた表情をして固まる。

そして、その後、今まで見たこともないような一番の優しい笑顔を見せてくれた。

「まさか、そう言ってもらえるとは思わなかったから驚いちゃった。
 嬉しい・・・。」

そう言って、私の乱れた前髪を優しく直してくれる梨江。

「梨江は・・・、梨江の気持ちは教えてくれないの?」

私が恐る恐る聞くと、また一瞬驚いた顔をして、それから優しく微笑む梨江。

「もう、分からないとは言わせないわよ?」

そう言うと、私の額に自分の額を合わせて、視界がぼやける程の至近距離で
梨江が囁いた。

「初めて会った時、最初は渚に似てるって思ったの。
 でもね、話すうちに、一緒にいる時間が長くなるにつれ、全然違うって思った。

 当たり前よね。早紀は渚じゃないんだもん。

 でもね、早紀と一緒にいながら、どんどん早紀の事を知りたいって思うようになった。
 知りたいって思う気持ちから、今度は一緒にいたいって思うようになって・・・。

 それで・・・。」

「それで・・・?」

「理屈じゃなくて、早紀の事、好きになってた。」

「梨江・・・。」

「早紀が好き。 もう、離したくない。」

苦しいくらいに抱き締められたその力強さに、梨江の愛情を感じることが出来た。
自分の気持ちを伝えるように、私も負けないくらい力強く抱き締め返して、
梨江の気持ちに応えた。

嬉しくて、嬉しくて、涙が自然と溢れて止まらなかった。



その夜、梨江は私の部屋に泊まるのかと思ったけれど
それ以上(?)の事はせず、

「本当は、このまま早紀を抱きたいけれど、明日は学校だし、
 楽しみは週末まで取っておくから。 嫌とは言わせないわよ?」

という台詞を残して、赤面した私を一人残して帰っていった。
そして、その後に来た梨江からのメール。

『週末は寝かさないわよ。覚悟してね!

 早紀の魅力に相当やられている梨江より。』

もう・・・、梨江のバカ・・・。
体が火照って、これじゃ眠れないじゃないのよ!!

そう愚痴る私も、梨江にそうとうやられてしまっているみたい。
思わず一人で思い出し笑いをしながら、自分に訪れた幸せを噛みしめた。


明日から、また梨江と一緒に居られる。
一緒に笑い、一緒に時間を過ごし、お互いを感じ合える。

当たり前に過ごしていた一緒の時間がこれほど幸せな事だとは思わなかった。

きっかけは、あのシュークリームの時のキス。

あれがなければ、梨江を意識することもなくて、
梨江の気持ちをうち明けられても、応える事は出来なかったかも知れない。

キッカケは突然だった。

それから、意識して、相手を知りたいと思うようになって。

気になる存在、意識する存在から、それは突然に恋に変わった。

今回の事がなければ、鈍い私は自分の恋心を自覚することも無かったかも知れない。
これも、怪我の功名?というのは、良く取りすぎ?
まぁ、結果良ければ全て良し。

週末に何が待ち受けるか不安と期待(?)を抱えながら、
1ヶ月ぶりに、私は安らかな眠りについた。


【完】



────── 梨江Side

[翌日の放課後:屋上にて]


「こんな所に呼び出して、お話は何ですか? 植村先生。」

「そんなに警戒しなくてもいいじゃない、奏。」

「お話は手短にお願いします。これでも、色々と忙しいので。」

「あなたに一つ聞きたいことがあるの。」

「何でしょうか?」

「あなた、今回の件、どうして高瀬さん?だったかしら?
 どうして、その子に協力してもらったのかしら?」

「それは・・・、私の普段の友人では、すぐに先生にばれてしまいますから。」

「ふーん・・・、それじゃ、質問を変えるわ。
 あなた、2年になったとたん、高瀬さんを避けるようになったそうね。」

「・・・・。」

「今回の件、まさかそのころから計画していた訳じゃないでしょ。
 そうなると、あなたが高瀬さんを避けていた理由は、この件とは別にあるわよね。」

「それを先生に話す義務はありません。私たちの事に介入しないでください。」

「避けていた理由は別にあるのに、今回はどうしても高瀬さんの協力が必要だった。
 随分と矛盾していると思うのよねぇ。」

「今回の件を考えた時、私の身の回りの人間では、すぐにばれる。
 目立たず私の思い通りに動く人間、千穂がそれに適していた、それだけです。」

「あっそう・・・。なかなか頑固ね。」

「他に話がなければもう失礼します。」

背を向けて、その場を立ち去ろうとする奏に、再度声を掛ける。

「あなたが1年生の終わり頃、
 あなたにつきまとう、上級生がいたって噂で聞いたわ。」

ピタリと奏の足が止まる。
やはりそうだったのかと疑惑が確信に変わる。

「その上級生、当時2年生だったかしら?
 ちょっとした問題児で教師の間では有名だったわ。」

「何の話しでしょう。」

「自分の気に入った子を見つけると、異常にまで執着し、
 ストーカーのように付け回し、脅迫まがいのことをするってね。」

「・・・・・。」

「あなた、その上級生に脅されたんでしょ?
 自分の物のならなければ、高瀬さんがどうなるか分からないって。」

「何の話しをしているのか、私にはさっぱり分かりませんね。」

「その上級生が、同級生を使って、高瀬さんをいじめ出した。
 ありもしない噂を学校の裏サイトに書き出し、中傷し出した。」

「・・・・。」

「やがて、高瀬さんはクラスでもイジメに遭うようになった。
 同じクラスだった1年の時は、自分が守れたが、2年になり、
 2人はクラスが別れた。そうなると高瀬さんのイジメは拍車が掛かる。
 そう思ったあなたは、高瀬さんを守る為に、あえて距離を取るようにした。」

「そんなの先生の想像にすぎません。」

「そしてあなたは、広く浅くの友人関係を持つようにして、
 その上級生にイジメのターゲットを絞らせないようにした。」

「随分と私を善人に思ってくれていますね。
 先生がそう思うなら、そう取ってもらっても構いませんが、
 私はそんなに人間出来ていません、残念ながら。」

「それだけ大切に守っていた高瀬さんを、逆に今回の件で頼るのには
 また別の理由があった。」

「・・・・・。」

「私と奏の隠し画像を撮り、早紀を脅す時、信用できない友人だと
 おもしろ半分に画像を裏サイトに載せたり、他の友人に流出する恐れがある。
 あなたは、私を脅しながらも、最低限影響が出ない用に注意を払っていた。
 そのためには、絶対的に信用できる相手が必要だった。それが高瀬さんだった。」

「ふぅ・・・・、随分と私を評価してくれるんですね。」

「高瀬さんを選んだ事で、私が奏の友人関係で混乱した事は
 良い意味で予想外の効果だった。おかげで本当に苦労させられたわ。」

「先生の想像話はそれだけですか。想像はご自由に。それでは・・・。」

「あの上級生、来月退学になるわよ。」

今度こそ遠ざかろうとした奏の足が再度止まる。

「その上級生の前の被害者の子、奏の前にストーカーされた子が証言してね。
 保護者が弁護士を連れて校長室に乗り込んできたの。
 それから、その子が立ち上げた裏サイトも見つかって。
 今、その子のパソコンとか携帯とか、押収されているわよ。」

「えっ・・・。」

「パソコンや裏サイトでの中傷データがプロバイダーから収集した後
 正式に退学通知が出ることが理事会と職員会議で可決されたわ。」

「その上級生の手下になった子達も、脅されていたみたいでね。
 正直に話せば処分は考えるといったら、みんな全て白状したみたい。」

「そ、そうなんですか・・・。」

「だから、もう高瀬さんの事は心配ないわよ。
 でも、高瀬さんはイジメに遭うことよりも、奏が自分を避けだした事の方が
 ショックだったみたいだけど。」

「・・・・。」

「それとも、今回の件、高瀬さんに手伝わせて、自分がひどい人間だという事で
 失望させるのも目的の一つだったのかしら?」

「ふぅ・・・。もういいです。
 先生は全部知っていたんですね。 いつからですか?」

「あなたの交友関係を洗っていた時に、色々と噂を聞いてね。
 高瀬さんの事は掴めなかったけれど、2年になってから奏は人が変わったと
 色んな人から聞いて、どうしてか気になったから調べたの。」

「そういう事ですか。
 あの先輩、本当にひどい人だったんです。あることないこと裏サイトに書いて。
 2年になって、クラスが別れたことで、千穂の状況を知ることが出来なくなったら
 それこそ先輩が何をしてくるか分からなかったから。 だから・・・。」

「どうして、高瀬さんに本当の事を話さなかったの?」

「話すと正義感の強い千穂は、先輩に直接物を言うと思って。
 これ以上、千穂を巻き込みたくなかったから。」

「本当に、奏は不器用ね。」

「今となっては、もうどうでもいいことです。」

「そうかしら?」

「えっ?」

「そういう事なんですって。高瀬さん。」

私は屋上のドア壁の影に隠れていた高瀬さんに声を掛けた。

「千穂・・・。」

「奏のバカ。私の事、もう嫌いになったのかと思ってた。」

「そ・・・、それは・・・。」

「でも、嬉しかった。奏は、私のこと守ろうとしてくれてたのが。」

「千穂・・・。」

「でも、一人で我慢するのはダメ。今回の事もそう。
 もう、一人で抱え込むのはダメだよ。」

「ゴメン・・・千穂・・・。」

「さて、私が話したかった事はこれだけ。 それじゃ!」

「先生?」

「何かしら?」

「前の被害者の子から証言を取ったのは先生ですか?」

「さぁ? どうだったかしらね?」

「もう・・・、これだからなぁ〜、先生は。」

「えっ?」

「やっぱり、私、先生の事、諦められません。先生の事、好きです。」

「えっ? えぇーーー?? 
 ちょ、ちょっと!! あなた、高瀬さんの事が大切だったんじゃ?!」

「あぁ、私は奏が、先生の事が好きだって事、ずっと前から知ってますから。
 それに、私も・・・。」

「えっ? 私も・・・って??」

「私も、実は、坂口先生の事、好きになっちゃって・・・。」

「あら、千穂もそうなの?
 やっぱり、私たちって、気が合うわね? さすが、親友よね?」

「ちょ、ちょっと!! 坂口先生は、ダメよ!!」

「最初は、奏に言われて、坂口先生の気を引くようにしていたんですが
 あの日、坂口先生が泣いていたのを見て、一瞬で惹かれて・・・。
 それは突然に、恋に落ちちゃったんです・・・。」

「だ、ダメよ!! そんなの、ダメ!!」

「先生、往生際が悪いですね。
 前にも言ったじゃないですか、人を想う気持ちは、誰にも邪魔できないって。」

「か、奏!!」

「まぁ、今は坂口先生は、植村先生の事が好きみたいですから、
 無理に迫ろうとは思いませんが・・・、先の事は・・・分かりませんからね?」

「ど、どういうことよ・・・。」

「勝負は、これからってことですよ・・・。ねっ? 奏?」

「そうそう、勝負は、これからですよ、先生♪」

「はぁ・・・、もう、やっと落ち着いたかと思えば・・・。
 まっ、別にいいわよ。奪えるものなら、奪って見せなさい。
 私は、早紀一筋ですからね。」

「あら、先生、一つ忘れていませんか?
 あの時の画像、私まだ消していませんからね?」

「ちょ、ちょっと!!」

「画像消す代わりに、一回ぐらいデートしてくれてもいいですよね?」

「あっ、それじゃ、そのとき、私は坂口先生とデートしたいなぁ。」

「ちょ、ちょっと・・・、勘弁してよ・・・。」


「それじゃ、今週末にでも、先生の家にお邪魔しますね♪」

「だ、ダメよ!! 今週はダメ!!」

「何か都合が悪い事でもあるんですか?」

「そ、それは・・・、色々あるのよ、大人の事情がね・・・。」


「ふーん・・・・(ニヤニヤ) 大人の都合だって、千穂?」
「聞き捨てならないねぇ、大人の事情って・・・(ニヤニヤ)」


やっかいな問題が終わったと思ったら終わって居なかったってどういう事?!
もう、勘弁してよ・・・、こんなこと、早紀に言えないじゃない。

あぁ〜、せっかく週末は、早紀と、あーんなことや、こーんな事して
あっつい夜を過ごそうと思っているのに・・・(汗)

こんな事なら、あの夜、我慢せずにヤルことやっちゃえば良かった。(お下品)
こうなったら、早紀を連れて、どっかのホテルに行った方がいいかしら・・・。

「先生? 私意外と悪知恵働きますから、気をつけてくださいね?」

「友人の私が言うのもなんですが、
 奏の悪知恵って天才的ですから気を抜かない方がいいですよ?」

この間の一件があるから、2人の言葉が冗談に聞こえない・・・(汗)

そして、その日の帰り、早紀に事の次第を説明したら、
めっちゃ不機嫌になって、怒られた・・・(涙)

もう、どうして私が怒られるのよー!!
(元はといえば、原因は全て私にあると、怒られた・・・泣)


でも、こんな事で梨江さんは負けないわよ!!
なんとしても、早紀と週末イチャイチャの熱い夜を過ごすんだから!!


こうして、この日から、今度は梨江の受難が始まった・・・。


【完?(笑)】

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