【 それは突然に 】
<<TOPに戻る

【それは突然に:=初めてのお泊まり=】


―――― ザーーーーッザーーーーッ

バスルームのシャワーの音が聞こえる。

私こと、坂口早紀は、何故か初めて訪ねた同僚こと植村梨江の部屋でシャワーの順番を待っている。

あぁ・・・、どうしてこんなことに・・・・(泣)

事の始まりは、梨江に前から見たかった映画のDVDを一緒に観ようと誘われた事。
梨江がプロジェクターを買った事なんて知らなくて、ついつい大画面での
迫力のある映画を期待してしまい、ヒョコヒョコと着いてきてしまった。

まぁ、DVDを一緒に観ているまでは良かったのだけど、
映画のクライマックスに近づいた頃、隣に座っていた梨江が酔っぱらって
手に指を絡め握ってきたかと思ったら、顔を近づけてきて・・・。
驚いていたら、そのまま私の肩にもたれて寝てしまった。

よくよく考えれば、仲の良い友人がお酒に酔っぱらって肩にもたれて
寝てしまったなんて、電車の中とかでは珍しい事ではないし、
手を握られたといっても、同性なんだから、別にそんなに意識することでも無いかも?

それじゃ、なんでこんなに動揺しているのかっていうと・・・。



「早紀〜、ごめぇ〜ん、奥の寝室にヘアバンド忘れちゃったの。ちょっと取ってくれる?」

「えっ? へ、ヘアバンド??」

良く分からないけれど、言われるがままに、とりあえずリビングの隣のドアを開け、寝室へ恐る恐る入る。

部屋は真っ暗だったので、ドアの付近の電気のスイッチを入れる。

「わぁっ・・・。」

寝室は、これまた梨江の趣味なんだろうけど、シックな色合いで
ベッドからシーツからカーテンが統一されていて、部屋のライトは
おしゃれな間接照明が点いていて、淡い灯りの中、どこかの豪華なホテルのベッドルームを思わせるような部屋。

「あのねぇー、寝室の隅のドレッサーのところに置いると思うからー」

バスルームから、梨江の声が聞こえてくる。

部屋に関心している場合じゃなかった。
言われるがままに、ドレッサーを見ると、確かに黒いヘアバンドが無造作に置いてある。

髪の長い梨江はきっと髪の毛を洗ったあと、ヘアバンドでまとめたいのだろう。
ドレッサーの前に置きっぱなしだったのは、きっと髪の毛を乾かした際にはずして置いておいたからなんだと思う。

頼まれたヘアバンドを片手に持ち、バスルームのドアをノックする。

「梨江、これ・・・」

(ガチャッ)

「ありがとぉ♪」


――――!!っ


勢いよくドアを開いた梨江は、そ、その、シャワーを浴びていたのだから
いわゆる、その・・・、ぜ、全裸・・・な訳で・・・

「きゃっ!!」

「えっ? ど、どうしたの??」

「り、りえ・・・、そ、その・・・・、ま、前・・・。」

「あっ、ごめんごめん。 でも、別に、そんなに驚く事もないでしょ? 女同士なんだし。」

「そ、そうだけど・・・、で、でも!! もう、はいっ、これっ!」

慌てて後ろを向き、後ろ手で頼まれたヘアバンドを渡す。

「うふふ♪ ありがと♪」

(ガチャッ)

脱兎のようにその場から離れて、リビングのソファーにしゃがみ込む。

わたし・・・、絶対におかしい・・・。

ど、どうしよう・・・。

目を閉じても、さっき目に映った梨江の生まれたままの姿がこびりついて、離れない。

シャワーを浴びて蒸気でほんのり赤く染まり、水が滴りながらも張りのある綺麗な肌。
細身なのに決して大きすぎず、決して小さくない形の良いバストにくびれた細い腰。
すらっと伸びた細い足。

駄目、ダメ、だめっ!!!

な、何を考えているの私!!

な、なんで、こんなに、同性の、しかも友人の梨江の裸を見て、動揺してるの!?

わ、わたし・・・、どうして、梨江を意識してるの?!

さっきも・・・、

さっきも、梨江が寝ている時、無意識に梨江の唇に視線が離せなくて、
気がついたら、自分から吸い寄せられるように・・・。

あのとき、梨江が目が覚めてなかったら、私、自分から――――


な、な、なんで!!


なんで、私が梨江にキスしようとしたのよ?!

あぁ〜・・・、な、なんで・・・、こんなことに・・・(泣)


「早紀? どーしたの??」

「へっ??」

ソファーの背もたれに顔を埋めてもがいていると、シルクのパジャマ姿の
梨江がシャワーから上がって声を掛けてきた。


「何してんの? そんな、ソファーに顔を埋めて。 もしかして、もう眠いの?」

「えっ? あっ、あははは! な、なんでもない。」

「そう? それじゃ、シャワーどうぞ?」

「あ、ありがとう・・・。」

「脱衣所に、着替えの下着と、ごめん、スウェット奥にしまったままだったから、私の替えのパジャマを置いたから。」

「う、うん・・・。 色々、ありがとう・・・、それじゃ、借りるね・・・。」

「どうぞ、ごゆっくり♪」

その場をこれまた逃げるように、脱衣所へ。

あぁ〜、この後一緒のベッドで寝るなんて・・・。

かといって、このままバスルームに篭もる訳にもいかないので、とりあえず服を脱いでバスルームへ入る。

バスルームへ入ると、柑橘系の爽やかなシャンプー? それともボディーソープ?の香りが充満してる。

自分が使った事がないシャンプーとボディーソープの香り。
さっきまで、このバスルームを使っていた梨江の姿を無意識に想像してしまう。

梨江は、こんなの使っているんだ・・・って、また、わたし、何を!!

早くバスルームから出ないと、これ以上何を想像してしまうか分からないので
とにかく急いで、シャワーで髪を洗い、慌ててボディソープで体を洗った。

別に急ぐ必要はなかったけれど、とりあえず、さっさとシャワーから出て
とっとと寝てしまうに限ると思い、バスルームから出て、置いてあるタオルで
体と髪の毛を拭くと、梨江が用意してくれた着替えが目に入る。

えぇーっと・・・、あれ? ブラジャーは・・・、そりゃないか・・・。
だいたい、梨江とバストが違うし、寝るだけだし、仕方ない。
朝、今日してきたブラジャーして帰ればいいか。

で、えぇーっと・・・、下の方はと・・・、えぇー???

こ、こ、これって・・・、T、T、Tバック?!

バスタオルを体に巻いて、とりあえず、脱衣所から梨江に声をかける。

「り、梨江っ!! こ、この下着って、T、Tバックなの?!」

「あぁ、ごめぇーん、私、下着は全部Tバックなんだけど、ダメだった?」

だ、ダメって・・・、ダメもなにも、そんなのしたことないわよ、私・・・(汗)

「あっ、えっ、えっと・・・。」

「ゴメンゴメン、だったら、今からコンビニいってちょっと買ってくるね。」

今からって、もう深夜の2時近く。

「あっ、い、いいよ!! だ、大丈夫!! 寝るだけだし!!」

「そう? ごめんね! 一晩だけだから我慢してね?」


―――― はぁ〜〜〜・・・。Tバックなんて・・・(泣)

とりあえず、ノーパンで寝る訳にもいかないので、まっさらの新しいソレに手をかけ、仕方なく着けてみる。

――――っ・・・。こ、これって・・・、な、なんか・・・。

Tバックって・・・、何も着けないより、逆にイヤらしい感じが・・・(汗)
で、でも・・・、ほら、外人はTバックが普通って言うし、梨江もそうだし。

寝るだけだから、我慢、我慢!!

で、パジャマと・・・。

置いてあったパジャマは、さっき梨江が着ていたシルクのパジャマの
色違いのもので、淡いピンクで、とても肌触りが良い上等なものだった。

でも、ノーブラでTバックという、とても心許ない状態なので
シルクのパジャマを着ても、なんとなく落ち着かない。

それでも、梨江の好意なのでありがたくそれを身につけた。


「シャワー、ありがとう。」

「早かったのね。 それじゃ、もう寝る?」

「う、うん・・・。」

「私は髪の毛乾かすの時間かかるから、先にドライヤー使ってね。
 私は、片づけしてるから」

「あっ、それなら、私も片づけ手伝う。」

「いいのいいの♪ 早紀はお客様なんだから、ほら、風邪引く前に、先使って♪」

「う、うん・・・、ありがとう」

それから、梨江はコーヒーカップなどの食器を片づけ、私は寝室の
ドレッサーで髪の毛を先に乾かした。

10分ほどして、梨江が寝室へ来たので、ドライヤーを渡した。

「先布団に入って、先寝てて。少しうるさいかもだけど。」

「うん、ありがとう。」

言われた通り、キチンと整えられたベッドに入り、壁側の奥、
ベッドの左側の壁に向かって横になった。

後ろから梨江がドライヤーで髪の毛を乾かしている音が聞こえる。

色々考えると眠れなくなりそうで、このドライヤーの音が聞こえるうちに
寝てしまいたかった。

けれど、そう思えば思うほど裏腹に、思い出すのは梨江の唇、梨江の入浴姿。

真っ暗な暗闇で、淡いプロジェクターの灯りの中にうっすら浮かんだ梨江の唇。
蒸気の中に浮かび上がった、水が滴った梨江の生まれたままの姿。

ダメ!!

考えてはダメ!!

布団に顔を埋め、目をギュッと閉じて考えないように別の事を一生懸命考える。

そうこうしていたら、ドライヤーの音が止んだ。


「電気消すね? 一応、フットライトは点けておくから」

梨江がそう言うと、部屋の電気が消え、部屋はフットライトだけの薄暗い部屋になった。

ベッドが軋み、布団の右側に梨江が入ってきた事が分かる。

ドキドキしてしまう。

なんで、こんなにドキドキするんだろう。

学校にいるまでは、映画をこの部屋で見るまでは、
ただの同僚で友達で、何も意識してなかったのに・・・。

――――嘘、違う・・・。

この間、梨江にキスされてから、あのときから、私はおかしかった。
あのキスから、私、梨江の事、意識してしまってるんだ。

でも、あれから、梨江は普通通りだったし、あのときの事にいっさい触れてこない。

だから、逆に気になっているんだ。

――――あの時のキス・・・、どういう意味?

そう聞ければいいのに、梨江があまりにも普通で、何も変わらないから
聞き出せないでいる。

――――嘘、これも違う・・・。

聞いた時、梨江になんでもないって言われたらどうしようって思う自分がいる。
気にしてたの? ちょっとした冗談よ!と言われたらって思う自分がいる。

そう流されてしまったら・・・。

私はどうなってしまうんだろう。

聞けないでいる自分は、聞くのが怖い自分なのかもしれない。

聞きたい、でも聞けない・・・。

でも、あの時から、梨江の事、意識してしまってる。
たった、あのときのキス一つで、梨江の事を意識するなんて・・・。
私、どんだけ子供なんだろう・・・。


「早紀? 寝ちゃった?」

頭の中で、どんどん自己嫌悪に落ちていると、不意に背中から梨江の声がした。

「うぅん、起きてるけど。」

「寝れない?」

「寝れないっていうか・・・、目が冴えちゃってるだけかも・・・」

「寒くない?」

「うん、大丈夫・・・。」

「私ね、髪の毛乾かしている間に、少し体が冷えたみたい・・・」

「えっ?」

「だから、いい?」

――――いいっ?って・・・、なに・・・が?!っ えっ?!

聞き返そうと、梨江の方へ体を向けようとしたその時、
不意に、背中が暖かい物に包まれた。


――――っ!?

「暖かい・・・、早紀の体って暖かくて柔らかいわね。」

背後から、梨江に抱きしめられた。

「り、梨江・・・。」

「早紀・・・、少しだけ、暖まらせて。」

耳元で、梨江に囁かれる。
全身に血が上り、体中が熱くなる。

「で、でも・・・。」

そう口にした時、私のおなかに梨江の手が回り、さらにギュッと抱きしめられる。

――――あっ・・・。

背中に、梨江の柔らかい双丘のふくらみをダイレクトに感じてしまう。
その柔らかく暖かい感触に気を取られていると、今度は足下に違和感を感じる。

「り、梨江??」

「足も冷えてしまったの・・・。」

そう言うと、梨江の片足が、私の両足の間に入り込み、太股を太股で擦られるように足を絡められてしまう。

「あっ・・・。」

「手も冷えてしまったの・・・。暖めていい?」

私の返事を待たずに、お腹に回されていた梨江の両手が、
優しく円を描くように、徐々に上へ上へとはい上がってくる。

――――だ、だめ・・・。こ、これ以上は・・・。

「り、梨江・・・、だ、ダメ・・・。だ、だめよ・・・。」

「どうして?」

頭の中にも血が上り、のぼせそうで、息が苦しくて、息も絶え絶え、梨江に訴える。

「り、りえ・・・、だ、だめだって・・・、や、やめ・・・て・・・」

「イヤな事はしないわ・・・、ただ、暖まりたいだけだから。」

「そ、それ・・・、それでも・・・、はっ、はぁっ、だ、だめ・・・。」

「早紀、本当にイヤ? イヤなら、辞めるわ・・・。」

そう言った梨江の手が、私の胸の膨らみをうっすらと撫でる。

――――だ、だめ・・・、何も考えられなくなっちゃう・・・

「はぁっ・・・、り、梨江・・・、ちょ、ちょっと、まっ、まって・・・。」

「なぁーに?」

「ま、まって・・・、おね・・・、おねがい・・・!!」

このまま、梨江にゆだねるとどうなってしまうんだろう。
このまま、ゆだねてしまってもいいんじゃないか・・・、そう思った。

けれど、最後の理性を振り絞って、梨江の両手を掴み、叫ぶように懇願した。

「早紀?」

「はぁっ・・・、はぁっ・・・、梨江、お願い、ちょっと話を聞いて」

私は最後の力を振り絞って、梨江の手を掴んだまま体の向きを入れ替え、梨江と向き合う。

薄暗い部屋で、梨江が今、どんな表情をしているか分からない。

「梨江、どうして?」

「どうしてって、何が?」

「どうして・・・、どうして、こういう事するの?」

「どうしてと言われても・・・ねぇ・・・。」

「あ、あのね・・・、わ、私・・・。」

「その前に、早紀、私に聞きたい事があるんじゃない?」

そう言うと、私が掴んでいた手を梨江は優しくはずし、片手で私の前髪を優しく梳いてくれる。

「聞きたいことって・・・。」

「聞きたかったんじゃない? この間の事。」

――――この間の事って・・・、もしかして・・・。

「・・・・っ。」

「あの時のキスの事。」

不意に顔を近づけて、耳元で、梨江が囁いた。

――――っ!?

「な、なんで?!」

「早紀ってば、あの日から、様子がおかしくなったし。自分で気がつかなかったの?」

「そ、それは・・・。」

「聞きたかったんでしょ? でも、なかなか聞けなかった。違う?」

「な、なんで?」

「なんで分かるのかって? それはね・・・・?」

――――それは?

聞き返そうと思ったそのとき、


――――んっっ!!


不意に、また唇を奪われた。


「私が何も気にしてないように振る舞ったから。だから、聞けなかったんでしょ?」

「ど、どうして・・・」

「早紀に、私の事だけで頭を一杯にさせたかったから。
 私のことだけ意識して、私のこと以外、考えられないように・・・。」


――――ぅんっ・・・。

さっきの一瞬のキスとは違い、今度は深く長いキス。

だ、だめ・・・、頭の中が真っ白になっちゃう・・・。

キスがどんどん深くなるうちに、梨江は体の向きを変え、
気がついたら、体を上から押さえつけられ、全身で抱き合う形になっていた。

――――ぅん・・・・、はぁっ・・・。

息が苦しくなって口を開いた瞬間、今度は梨江の舌の進入を許してしまう。
さっきまで、髪を梳かれていた梨江の手は指を絡めて握られ、頭の両脇で固定された。

全身でのし掛かられた梨江の体の起伏を体で感じてしまう。

一方的に長い間唇を貪られ、やっとのことで、梨江が離れた。


「早紀・・・、私の事だけ見て、私の事だけ感じて? いい?」

梨江とキスして、梨江の体を感じて、息苦しくて、体中熱くて。
もう、このままどうなってもいい、そう思ってしまうほど、何がなんだか判らなくて。

それでも・・・、それでも、何かこれではいけない気がして・・・。

また近づいてきた梨江の唇を、顔を背けて拒絶した。

「・・・早紀?」

「まって・・・、お願いだから、待って・・・。」

良く分からないけれど、涙が出てきた。

悲しいのか、辛いのか・・・、それとも、全然違うのか・・・。

何でか分からないけれど、涙が出てきて止まらない。

「さ、早紀??」

私が泣いていることに気がついたのか、梨江は慌てて体を起こし、
部屋のライトを点けた。

「ご、ごめん・・・早紀。い、イヤだったの?」

私も体を起こし、止まらない涙を拭いながら、顔を覆った。

「い、いや・・・とか・・・、そ、そういうんじゃ・・・なくて・・・。」

「早紀・・・?」

「わ、わからないの・・・、分からないの・・・。」

「分からないって・・・?」

「り、梨江のこと・・・、どうして、こんな気持ちなのか・・・、分からないの・・・。」

「早紀・・・。」

「分からないの・・・、これが、一体なんなのか・・・、どういう気持ちなのか・・・。」

「・・・・。」

「分からないから・・・、怖いの・・・。どうしていいか、どうなっちゃうのか・・・。」

「早紀・・・。」

「ごめんなさい・・・。」

自分でどうして泣いてしまっているのかも判らなかった。

「・・・・。こっちこそゴメンなさい。少し強引すぎたわ・・・。」

そういうと、梨江は優しく私を抱きしめてくれた。
さっきまでの荒々しさは無く、ただ優しく包んでくれた。

「・・・うん・・・。」

梨江のその優しさに包まれて、私はまた悲しくなってまた泣いてしまった。
それでも、梨江は何も言わず、ただ、黙って私が泣きやむまで抱きしめてくれた。

どのくらいそうしていただろう。

私が泣きやんで、やっと落ち着いてきたころ、2人で冷えた体を布団に入れて、
向き合って改めて梨江と話をした。

「泣いてごめんなさい。その、イヤとかそういうんじゃなくて、
 今、自分の気持ちが一体何なのか良く分からないの。
 梨江の事、意識してると思う。でも、この気持ちが一体何なのか分からない。
 だから、急にああなってしまって、怖くなってしまって・・・。」

「うん・・・。」

「今抱えているこの気持ちが恋愛感情なのか、単なる興味なのか分からない。
 だから、少し待ってもらえない? 自分で気持ちをキチンと整理したいの。
 こののままじゃ、流されているだけで自分の気持ちが着いていけないの」

私は、今自分が抱えている気持ちをありのままに話した。

「分かった。・・・ごめんね、怖い思いさせちゃって。」

「うん・・・、もう大丈夫・・・。」

「あ、あのね・・・、その・・・。」

「なに?」

「そ、その・・・、もうさっきみたいな事、イヤな事はしないから・・・」

「えっ?」

「早紀を抱き締めながら寝てもいい?」

「あっ、えぇっ?」

「約束する、もう、さっきみたいな変な事はしないから。ただ抱きしめるだけ。」

「う、うん・・・、そ、それなら・・・。」

「ホッ・・・。ありがとう。」

恥ずかしかったけれど、さっき泣いている時抱きしめてくれていた間は心地よかった。
それに、なんだかとても安心できた。

部屋の電気をもう一度消して、梨江の腕枕に頭を乗せて、
梨江に優しく抱きしめられたのが気持ちよくて、そのまま眠りについた。


翌朝、目が覚めた時、ベッドに梨江の姿はもうなくて、
寝室を出ると、朝ご飯の支度をしてくれていた。

それから、梨江の顔を見ても、変に意識して苦しくなることは無くなった。
でも、その代わり、梨江の笑顔を見ると、時々キュンとする事はある。

まだこの気持ちが何なのか分からないけれど、
焦らないで、キチンと整理して向き合っていこうと思う。

梨江は私の同僚で友人。

これから、この関係がどう変化するのかは、まだ未定かな?

そんな事を考えながら、梨江のお手製の朝食を食べて、お昼前に帰宅した。



――――――――――――――――――――早紀が帰宅した後の梨江さん

あぁ〜、途中まではイイトコ行ってたんだけどなぁ〜。
ヘアバンドを持ってこさせて、私の体をアピールして意識させるところまでは
良かったんだけど、そのあと、何がいけなかったのかしら?

さすがに、Tバックはまずかったかしら。
だって、早紀のTバックを見たかったし、恥じらうそれを脱がしてみたかったしぃ。
とはいえ、ちょっと露骨だったかしらねぇ?

まさか、あそこで泣くなんて・・・、焦りすぎたかしら。
でも、襲われかけたのに、逆に謝ってくるなんて、早紀らしい。

もう、抱きしめて寝たのはいいけど、もう我慢するの大変。
ムラムラしちゃって、一睡もできなかったし。

まさか、自分で自分の首を絞める事になろうとはねぇ。

まぁ、意識してくれるようにはなったから、これから徐々にってことで期待しましょうかね?


――――ってな訳で、策士の梨江さん、途中までは完璧でしたが、詰めを誤りましたね。

これからこの2人どうなりますことやら?

早紀さんが梨江さんを随分意識して、もう時間の問題?と思っているかもですが、
そー簡単には、うまくいきませんよ? 梨江さん♪(ウフフ)←えっ?

次回、=ライバル登場!?(仮題)=です。 こうご期待♪


=END=

次のページへ>>