『Turning point』
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友達、、、


そう私と朋美はずっと友達でいるはずだ。


私が意識してしまうのは、朋美に何か期待しているからじゃないか。


普通の友達以上に接してくれている朋美が、もしかしたら自分のことを意識してくれているのでは?と
自分に都合の良すぎる期待をしてしまっているからじゃないか。

朋美は私のことを大事に思っていてくれて、好きだと思ってくれているんだと思う。

うぬぼれではなく、それは朋美の心遣いを考えれば間違いないはず。



でも、その好きという感情は、Like。
それは友達を越えて、きっと私という人間を好いてくれている最上級のLike。



私が朋美に抱いている好きという感情は、Love。
恋愛感情を伴い、朋美に対して邪な感情を抱いてしまうほどの狂おしいLove。



好きといえば同じ言葉でも、裏に隠れる意味合いは全く違う。
それは一致することがない。比較できない、近づくこともない。 まったく異なる意味合い。

哀しい事なのか、嬉しい事なのか。

嬉しいことかもしれないのに、とても寂しく苦しい。

私たちは誰よりも近く隣に並んでいる。
一緒に笑い、ときに支え合い、同じ時間の中を過ごしていく。


でも解っている。 私たちは隣り合わせであるけれど、決して向かい合うことはない。
いつか朋美の前に立ち、向かい合って、手を差し出す誰かを私は朋美の横で見守るだろう。


花婿の父親ってきっとこんな気持ちなのかな?と、自嘲気味な笑みがこぼれる。


そういえば朋美は、思い続けている相手とはうまくいくことはないのだろうか。
その人は、朋美のことを恋愛対象と見てくれないのだろうか。
朋美が幸せになることはあり得ないのだろうか。


あの私の腕の中で嗚咽しながら泣きはらしていた朋美を思い出すと胸が苦しくなる。

私が朋美にできることは、ただ優しく包むことだけ。
これ以上朋美が傷つかないように、悲しまないように包んであげることしかできない。



そんなことしかできないけど、きっとそれは私にしかできない事。
だったら、朋美が望む形で側にいられればいい。


私は朋美を心から愛している。

だから、朋美が望む形で、朋美が私を必要としている限り、側にいられればいい。
私が与えられる物は全て与えよう。その代価は、朋美の笑顔があればいい。


私は今やっと自分の気持ちの置き場が解った気がする。

もう迷わない。 大丈夫、私は朋美の側に居続ける。


見つけだせずに悶々としていた答えが、今やっと解った。
長い間さまよい続けた暗い森から一筋の光を見つけた気がした。 


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