『Turning point』
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私がうどんを平らげたことと、薬を飲んだことを確認すると、朋美は片づけをして帰り支度をした。


「今日は本当にありがとう。 気を使わせてごめんね。 お礼は元気になったらするから。」

私は帰る前の朋美にお礼を言った。


朋美は私のベッドのところにやってきて、

「このくらいの事は何でもないの。和美が弱っているのを放っておけるわけないじゃない。」

真剣な眼差しで朋美は私を見つめていた。私はその眼差しから目が離せなかった。

「元気になったら、また泊まりにくるから、よろしくね?」

そういうと、いつもの茶目っ気のある笑顔になった。

「それじゃ、帰るね。 お邪魔しました。」

そういって、朋美が私に背を向けた時、


「えっ?」
「えっ?」


私に背を向けた朋美の手を、私は咄嗟に握ってしまっていた。
手を握った私、手を握られた朋美、同時に同じ声を発した。

「ど、どうしたの?」
「あっ、いや、ど、どうしたんだろう。 ごめん、なんでもない。」

自分の予想外の行動に驚き、私は慌てて手を離そうとした。

すると、今度はその手を朋美が握り返してきた。


驚いて顔を上げると、朋美が真っ直ぐな眼差しで私を見つめていた。

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