『Turning point』
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目が覚めると、部屋は薄暗くなっていて、いつもの私がすごしている空間に戻っていた。


あぁ、私はまた夢をみていたのか。


朋美が見舞いにきてくれて、そして優しく微笑んでくれていた、そんなとても良い夢。


現実ではなかったけれど、その前にみた悪夢を吹き飛ばしてくれたことに感謝した。
体も随分楽になってきた。熱も随分下がったのだろう。頭痛からも解放されていた。

そうだ、そろそろ薬を飲まないと、、、
そう思い体を起こそうとすると、布団の上から軽い圧迫感があることに気づいた。


「?」


不思議に思い、体を起こそうとすると、今度は私の体の横に不思議な感触があった。


「えっ?」


よく見ると、私の隣に誰かがいた。

「と、と、朋美??」

私は驚いて声を上げてしまった。



朋美が見舞いに来てくれた事は夢だと思っていたのに、なぜか私の隣に朋美が私の体の上に
腕を回して寝入っていたのだ。

寝起きではっきりと頭が回らない。 一体なにがどうなってこうなった??
ぐるぐると思考が回っていると、朋美が目を覚ました。


「あっ、和美起きた? どう? 調子は?」


目覚めたばかりの朋美は半分寝ぼけているのもあるが、甘ったるい口調で、なんともいえない雰囲気だった。

「あっ、いや、えっと、随分良くなっているとは思うけど、、、というか、朋美なんでここで寝てるの??」

私はしどろもどろで、とにかく今の現状を知るべく訪ねた。

「あぁ、和美のお昼を作っていて、できたから呼ぼうと思ったら、
 すごく気持ちよさそうに寝ちゃってて。
 寝顔を見ていたら、また和美が泣いていたから。
 心細いのかな?って思って横で見ていたら、私も眠たくなっちゃって。」


どうやら、朋美はそのまま添い寝をしていたらしい。心臓に悪いったらありゃしない。
やっと状況を理解できて、私はホっと安心した。

ばつが悪そうな笑顔を浮かべながら朋美は起きあがり、何も言わずに台所へ行った。
それから朋美は、作っていた煮込みうどんを温めてくれた。

しばらく味気ないものしか口にしていなかったので、とても美味しかった。


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