『Turning point』
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一週間の始まりである朝、最悪の体調だった。


結局土曜の夜から昨日の朝まで居間で眠ったために、風邪を引いてしまった。

激しい頭痛と吐き気におそわれ、さすがに昨日は仕方なくベッドで寝たものの、
やはり1日では体調は良くならなかった。むしろ更に悪化しているような気がした。

このまま会社を休んでしまおうか、そんな事も考えた。
でも、会社で取引相手の人から連絡が入ることを思い出した。いっそのこと忘れていたら良かったのに。


私は這うようにして起きあがり、とりあえず壁に体をぶつけまくりながらもシャワーを浴び、
会社へ行く支度をして家を出た。

会社は隣駅だったけれど、とても駅までたどりつける状態ではなかったので、タクシーで会社へ向かった。


朋美に逢わずにすむならいいのに、、、と思いながらも、ロッカーで残念ながらその願いは簡単に破られる。

「おはよぉ〜! この間はありがとうね。」

屈託のない朋美の笑顔は、今の私の体調を悪化させる何者でもなかった。

「お、おはよぉ〜。」

私は挨拶するのが精一杯だった。
さすがに何か変だといことを朋美が察知する。

関わって欲しくなかった私は、ちょっと風邪気味だと説明した。
それを聞いて、引き下がる朋美である訳がない。

案の定、心配しまくりで、もう帰ったほうがいいと言い出してきた。

そりゃ帰れたら帰ってますって。
取引相手との約束があるからと行って、私は鉛の入った鎧をつけたような体を引きずりながら
制服に着替え、席に戻った。


職場の男性も、皆私の体調がおかしいことに気づき、帰ることを勧めてくれた。

いっそのこと、この風邪が悪化して、しばらく会社休む手もあるな、とフラフラしながら考えてみる。

そうなると、朋美の心配度がいきなりMaxになって、
部屋にあがって看病する!と言い出すかな?と都合のいい想像をしてしまう。
でも、今となっては、そうなると困るので、すぐに考えるのを辞めた。



どうにか午前中は耐えた。運がいいことに、連絡待ちをしていた相手からは午前中に連絡があった。
これで、はれて帰れるとおもっていたら、朋美がやってきた。

体調のことを聞かれたり、お昼は食べられそうなの?と聞かれる。

とにかく朋美と離れたい。それが本音であり心の声だった。


私は、取引相手からの連絡があったことを伝え、今日は半日で帰ることにした。
朋美は心配そうにしていたが、振り返らずにそのまま会社を出た。


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