『Turning point』
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痛々しい光を感じて目が覚めた。


なんでこんなに眩しさを感じるんだろう?と不思議に思いながら、顔を上げると、
カーテンを閉めずに寝たせいか、外からの日差しを顔にまともにうけていた。

どうやら私は、昨日居間で寝たらしい。 一応パジャマに着替えて毛布も持っているところをみると
酔っぱらってそのまま寝過ごした訳ではないことに安心した。


普段はベッドで寝ているから、こんな体験したことがなかった。
日差しをこれだけ眩しく感じるということは、もうずいぶんと遅い時間なんだろうか?と思いつつ、
時計を見てみると、まだ朝の8時だった。

そんなに寝過ごしてないことに、少しホッとした。
ホッとしたのもつかの間、頭が少し重い。

頭を抱えながら、少しずつ昨晩の事を思い出してみた。


ワインの3本目を開けたところまでははっきりと覚えていて・・・。
そうだ、4本目に入ったところで、朋美が長年思い続けている人がいるっていうことを打ち明けてきた。


その話を思い出すと、胸がズキンと痛みが走った。


それから、私は泣いて、朋美も泣いて。
ベッドに寝かしつけようとしたら、えぇーっと・・・。

たしか、えーっと、、、


思い出せない。

そんなに深酒したつもりはないのに、そこから先が思い出せない。
なぜ自分が居間で寝たことも解らない。

何かあったのかな・・・。少し不安になりながらも、とりあえず朋美を探してみる。

すると、朋美はベッドを我が物顔で、幸せそうに寝ていた。
その安らかな寝顔を見て安心した。


昨日の自分の告白を、朋美は覚えているのだろうか。
いつも、やけ酒を煽って泥酔して寝てしまう時は、その時の事を覚えていないらしい。
できれば、昨夜の事も覚えていなければいいと私は思った。

きっと覚えていたなら、朋美は私に対して申し訳ないと思うのかもしれない。

気にしてしまうかもしれない。

自分がいままでしてきた事で、私を騙していた事に罪悪を感じてしまうかもしれない。



私は小さく寝息をたてて寝ている朋美を見ながら
昨夜朋美から打ち明けられたことを覚えていない振りをすることに決めた。

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