『愛しきロクサーヌ』
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しばらくして、炬燵に入りながら、2人でテレビを見ていたのだけれども、
気が付くと、朋美がうつらうつらと船を漕いでいた。

さすがに酔いがそこそこ回ってきたのかな?

でも、一生懸命にその眠気に負けないようにして、時々ビクッとしている朋美が
眠いのを我慢している子供みたいにみえる。


顔はほんのりと赤くなっているのに幼い顔になってる朋美がかわいくて、おかしくて、
思わず吹き出しそうになってしまう。

「朋美、朋美? ほら、眠いなら、寝ていいから。 うたた寝すると風邪引くよ?」

「っん、ん〜・・・、ぅん? ね、眠くないから、大丈夫。」

大丈夫って、全然大丈夫じゃないのに・・・。
無理して眠くないフリをしようとしている朋美が、とても可愛く見える。

「ほら、全然大丈夫じゃないから。」

私は笑いを堪えながら、優しく朋美の肩を揺する。

「ぅん・・・・、 ごめん、やっぱり、なんか、ねむい・・・、 すこし、すこしだけ・・・。」

「ちょ、ちょっと?? 朋美??」

そう言うと、朋美は体を私の方に倒して、炬燵に入りながら寝込んでしまった。

「朋美〜、もう、しょうがないなぁ〜。」

私は押入から、枕を出して、静かに寝入っている朋美の頭を持ち上げ、枕を頭の下にそっと置いた。

「んん・・・・、ありがとう・・・・。」

一瞬だけうっすらと目を開け、そしてまた静かに朋美は眠りについた。

朋美・・・。

こうして朋美の寝顔を見るのは一体何回目なんだろう。
真横で、静かに寝息を立てている朋美は、私にはこんなにも無防備になるんだなと実感する。

(無防備すぎるってのは、ある意味残酷だよなぁ〜。)

無意識に朋美の頭に手で触れそうになってしまう。

(だ、ダメだ、ダメ。 朋美には触れないって決めたじゃないか。)

慌てて手を引っ込める。 はぁ〜〜〜っと、大きなため息を思わず突いてしまう。

(これじゃ、蛇の生殺しだよ。)

朋美は、もう何度もうちに泊まっているけれど、この間の一件の事があってから、
もう一緒のベッドでは寝ない方がいいような気がしていた。
今日は、あの一件以来の泊まりなのだから、自分では絶対にもう触れないようにする!と
心に誓っているものの、自分の煩悩に理性が勝てる自信もないのが事実だから。

(自分を信じてはいるけれど・・・、でも、無防備すぎるとねぇ・・・。)

よしっ!

今日はこの間みたいに風邪を引かないように、居間に布団を敷いて私は寝ることに決めた。
朋美を起こさないように、押入から布団一式を取り出す。
その後で、ベッドを整えて、朋美がすぐにでも寝られるようにする。

(さてと、そろそろ朋美を起こさないと。 風邪引いちゃうし。)

朋美用のいつものスエットと長袖のTシャツを出して、寝ている朋美にそっと近づいた。

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