『愛しきロクサーヌ』
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キンコーン・カーンコーン

12月22日 18:00

「あぁ〜、やっと仕事が終わった〜。 明日から3連休だ〜!!」

イスの背もたれに体重を掛けて、思い切り背伸びをする。
やっと、待ちに待った3連休がやってきた。

この3連休の間に、朋美が家に来て、一緒にクリスマスを過ごす。
そう考えただけで、今でもドキドキしてしまう。

まずは、明日1日部屋の掃除をして、何のビデオを見るか探して。
あと、何を用意するのか考えて・・・。 そんな事を考えるだけで嬉しさがこみ上げてしまう。


「和美〜。」

いきなり、朋美に話しかけられて、驚いて背伸びをしていた勢いからイスがひっくり返りそうになる。

「う、うわぁ〜っ! もう、びっくるするじゃない!! いきなり話しかけないでよー。」

明日の事を想像してにやけていたのがバレたかと思い、思いっきり驚いてしまった。

「何そんなに驚いてるの?」

朋美が逆に不思議そうな顔をして、笑っている。
どうやら、にやけていた事は気付かれていないらしい。 良かった。(ほっ)
でも、なんとなく、見透かされてそうでバツが悪く、話題を逸らす為に、朋美の問いに答える。

「え、えっと、いや、なんでもないけど。 それより、どうかした?」

「えっと、24日、何時頃に行けばいいかなって思って。」

「あっ、あぁ。 24日ね。 えっと、午後からでいい?」

「うん、大丈夫。 それなら駅とかで待ち合わせて一緒にそのまま買い物する?」

「あぁ、そうだね。 どうせ買い出しするし、ビデオも借りに行くしね。」

「それじゃ、駅に13時で待ち合わせね。」

「りょーかい! それじゃ、明後日ね。」

「うん、それじゃ、24日にね。 それじゃ、今日はお先に♪」

「お疲れ〜♪」

朋美は上機嫌で帰っていった。
明後日は、クリスマスイブ。 考えてみたら、クリスマスイブを朋美と一緒に過ごすのって
初めてだと思う。いつもだと、朋美はその時つき合っていた相手とクリスマスイブを過ごしていたから。

クリスマス明けには、必ず朋美はペンダントやらピアスやら指輪やら腕時計やら、
新しい一品が増えていて、あぁー、プレゼントでもらったんだな、と感じていた。

その都度軽い嫉妬をしていたような気がする。
でも、不思議と、その後の年明けくらいに、決まって彼氏と別れる事が多かったような気がする。
クリスマスはハッピーで、年明けに別れる。 このサイクルが何回も続いていたような事を
ふと思い出した。 まぁ、でも、私には関係のないことだけど。

私はそんな昔の事を思い出しながらも、明後日の朋美とのクリスマスに心浮かれて、
仕事の後かたづけも早々に、会社を後にした。

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