『めぐり逢えたら -朋美Side-』
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一睡も眠れなかった・・・。

目を閉じると、タクシーに笑顔で乗り込む和美と、その後に続く滝川さんの姿が瞼の裏に浮かんでしまう。

涙が止まらない。

寝不足と泣き腫らしたせいで、目が真っ赤に腫れてしまっている。
このままで出勤はできない。
今日は会社を休む事にして、和美にメールを打った。

どうしたらいいんだろう。 自分でもどうしたらいいか解らなくなってきている。
頭が混乱しっぱなし。 何もかも手につかない。 他に何も考えられるはずもない。

枕に顔を押しつけて嗚咽を堪える。

何も考えられなくなり、息が苦しくなる。
頭の中の酸素が薄くなり、そのまま意識が遠のいていった。


ぅんん・・・・。
気が付くと、昼過ぎ。

朝、メールを出してから、寝不足と精神的な疲労から寝てしまっていたらしい。

まだ瞼が重い。 腫れが引いてないことがすぐに解る。
顔を洗おうと、立ち上がると眩暈がして座り込んでしまう。

部屋に一人でいることに、急に不安になる。
だれからも置いていかれて、たった一人置き去りにされてしまった気がしてしまう。

(和美・・・。)

渇いていた涙が、また溢れ出す。
その場で泣き崩れていると、机の上に置いていた携帯が鳴りだした。

ふと現実に引き戻され、携帯の着信を確認する。
どのくらい鳴っていたのか気付かなかったが、着信は留守電に切り替わりそのまま伝言無しで切れていた。

着信:早川 和美

ドキリとする。

今は、名前を目にしただけでも、胸がズキンと痛む。
携帯を閉じ、ギュッと握りしめる。 今、和美を目にするだけで辛い。
そうして、しばらく俯いていると、携帯がまた鳴り出す。

(えっ?!)

慌てて開き、着信を確認すると、今度はメールだった。

送信者:早川 和美

何かあったのかと思い、今度は躊躇いもなくメールを開いた。

“朋美、体調が悪いみたいだけど大丈夫?
昨日から、様子がおかしかったのは、体調のせい?
さっきから、何度か電話しても出ないからちょっと心配。
今日、ちょうど仕事キリがいいから、午後休んでそっち行くから。“

えっ? 今から和美が来る?
よく見ると、和美からの着信履歴が何回もあった。

和美の突然の訪問連絡に、ただ呆然としていた。


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