『めぐり逢えたら -朋美Side-』
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「お、お久しぶりです・・・。」

「まぁ、堅苦しい挨拶は抜きにして、少しお茶でもどう?」

「はい・・・。」

「本当に来てくれるとは思っていなかったから、嬉しい。 ありがとう。」

この人とは8年前に終わっていたハズなのに。
あんな別れ方をしたっていうのに、どうして、ここに来てしまったんだろう。

この人に傷つけられた心の傷を、和美が癒してくれたから、今の私があるというのに。
それなのに、今向けられたこの人の笑顔に、胸が苦しくなるのはどうして?

私が本気で愛した人だから?
和美に惹かれる前に、唯一心から愛した人だから?
8年前、二股を掛けられて捨てられた人なのに・・・。

「今日は、急に呼び出してごめんなさいね。」

「いえ・・・。」

「しばらく会わない間に、綺麗になったわね。」

「そんなことありません・・・。 そ、それより・・・。」

「なに?」

「どうして、あんなメールを私に送ったんですか?」

「どうしてかしらね。 日本に帰って来ると決まった時、真っ先にあなたの顔が浮かんだからかしら。」

「なっ!!」

「私は、あなたとやり直したいと思っているの。」

「ど、どうしてっ!」

「どうしてもなにも、この8年間、私はあなたの事が忘れられなかったから。」

「な、なんで今頃そんな事を言うんですかっ!! 私を捨てたのはあなたなのに!!」

「そうね・・・、そう思われても仕方ないわ。 あの時は。」

「???」

「あの時、アメリカ行きが急遽決まった時、私はあなたを連れて行くことができなかった。」

「えっ?」

「まだ、若いあなたを、私は一緒にアメリカに連れていけるだけの自信がなかったから。」

「で、でも、あの時、他に好きな人が居るって・・・・。」

「その時は、確かにそう言ったわ。 私は、あの時、あなたではなく、
 仕事を選んだから、だから二股を掛けた事に変わりないわ。」

「そ、そんな・・・。」

「二股を掛けた嫌な奴に引っかかったとでも思ってくれれば、私のことを忘れてくれるかと思ったわ。
 かなり自惚れているけれど。」

「そんな、なんであの時そう言ってくれなかったんですかっ!!」

「あの頃は・・・、そうね、私も・・・、あなたも若かったから・・・、かしらね?」

そういって、彼女は・・・、滝川さんは、昔と変わらない笑顔を私に向けた。


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