『めぐり逢えたら -朋美Side-』 |
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いつもと同じ朝、なのに昨日の出来事のせいか、目覚めが悪い。 今日のお昼も、和美から滝川さんの話をきかされるのだろうか。 そう思うと、いつもなら和美と一緒に過ごすお昼が楽しみなはずなのに、気が重くなる。 それでも支度をして部屋を出ようと携帯を掴み、開いて時間を確認しようとした時、 メールが1通届いている事に気が付いた。 件名:今日会社を休む 差出人:和美 メールを開くと、ちょっと私用ができたから、今日会社を休むと連絡が入っていた。 なんだろう? 何か急な用事でもできたのだろうか。 この時は、それくらいにしか思わなかった。 和美とお昼を一緒に食べれないのは淋しいけれど、滝川の事で気を使うことがない事に少しホっとした。 それに、昨日届いた滝川さんからのメール。 目覚めの悪さの原因は、これに間違いない。 昨日結局そのメールを開けなかった。 仕事中に読んでしまうと、その後何も手に着かなくなる気がしたから。 けれど、結局読まずにいることで逆にストレスになっている。 読まずに捨てるべきか・・・。 何が書いてあったとしても、何かが変わるハズもない。 だから、読んでも差し支えがないハズ。 そう思って何度もそのメールにカーソルを合わせるものの、何故か手が止まる。 何か胸騒ぎがする。 不安な予感。 けれど、開かなければ何も始まらない。 この気の重さも晴れることがない。 実は大した事がない内容なのかもしれない。 通勤中の電車の中で、心を決める。 見なかった事にしても、気にし続けることには変わりない。 金曜日の朝、出勤と同時にパソコンを立ち上げる。 メーラーを立ち上げ、滝川さんからのメールにカーソルを合わせ、メールを開いた・・・。 『?!!っ』 和美がその日休みで良かったと思った。 その日の午後、私は会社を早退して、成田空港へと向かった。 成田エクスプレスに乗りながら、脳裏に浮かぶ和美の顔。 どうして、来てしまったのだろう。 ただ、漠然とした不安だけが胸の中を占める。 急に、昨日までの当たり前だった幸せが、遠い日々のように感じられた。 成田空港に到着し、メールに書いてあった飛行機の到着ロビーを確認する。 予定よりも30分遅れて飛行機が到着した。 何故私は今ここにいるのだろう? 突然そんな疑問が頭の中に浮かぶ。 メールの内容なんて無視すれば良かった。 よく考えれば、私がここに来る義理など何一つないハズなのに。 なのに、到着ゲート前から足が動かない。 何故・・・? 俯いて葛藤していた時、不意に背後から声を掛けられた。 「来てくれるとは思わなかった・・・。」 振り返ると、滝川さんが立っていた。 「久しぶり。 8年ぶり・・・かな?」 8年ぶりの再会に、何故か胸を激しく締め付けられる。 もう、昔の事なのに、もう忘れたハズなのに・・・。 私は何も言えず、自然とこみ上げてきた涙を必死に堪えていた。 |
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