『めぐり逢えたら -和美Side-』
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拘束していた右手を外し、詫びるようにそっと、朋美の頬に手を添える。

「どうして・・・。」

不安から揺れる瞳で、朋美は私に掠れた声で小さく問う。

ごめん、こんなつもりはなかった。
夢の中だったら、朋美を自分のものにできると思った。
けれど、夢の中でも、朋美は誰の物でもなかった。

力任せに、力ずくで朋美を自分の物にしてしまおうとしていた。

「ごめん・・・。」

朋美を傷つけるつもりじゃなかった。
たとえ、これが夢の中でも。

ごめん、
ごめんなさい、

こんなことして、許されないけれど、
それでも、あなたに触れたかった、あなたが欲しかった。

こみ上げる涙を堪えていると、
不意に、朋美に触れていた私の手のひらの上に、朋美の手が重ねられた。

やさしく・・・、
そして、暖かく。

「和美・・・?」

小さいけれど優しい朋美の声が、私の名前を呼ぶ。

「ごめんね・・・、でも、今日だけ・・・、お願い・・・。」

ごめんなさい、2度とあなたを傷つけない。
だけど、今だけ、お願い、
今日だけ、このまま朋美の体に触れていたい。

懺悔の言葉を口にした時、堪えきれず涙がこぼれた。

「どうして、和美が泣いているの?」

涙が流れる落ちるその頬に、朋美の手がそっと触れる。
その優しい手を離したくなくて、そっと自分の手を添える。

「いいよ・・・、私、和美の事好きだから・・・。」

幻聴かと思った。

けれど、その刹那、優しく両頬を包まれ、顔をひきよせられて
朋美に唇を奪われた。

それは、優しく、とても暖かく。

さっき強引に私が奪ったキスとは違い、
全てを許されるような、癒されるような、全身を優しく包容されるようなキスだった。

硬直して、こわばっていた朋美の体からは、その固さが取れ、
柔らかな暖かい体を全身に感じた。

今度は、朋美の唇を優しく味わう。 唇を少しずつ深く重ねて行くと、
さっきまでの一方的なキスとは違い、私が重ねた力の分だけ、朋美も強く
唇を重ね合わせてくる。

一方的に浸食していた朋美の唇の中に、そっと舌を差し込むと
力無かった先ほどとは違い、、朋美のそれは、意志を持った生き物のように、私の舌に絡んできた。


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