『めぐり逢えたら -和美Side-』 |
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息が続く限り、朋美の唇を奪っていた。 体中の酸素が枯れる。 意識が途切れる寸前に、唇を離した。 朋美の息が弾んでいる。 私自身の息も途切れ、肩で息をしている。 「はぁっ、はぁっ・・・。 か、和美・・・、ちょ、ちょっとどうしたの?」 瞳に不安な影を浮かべながら、朋美は真っ直ぐに私を見つめる。 これは、夢だ。 私は、酔って夢を見ているんだ。 体に感じる朋美の柔らかく暖かい感触も、感じた濡れた唇も、 体中に走る熱く煮えたぎる血の流れも、 全て感じているけれど、これは夢。 自分に都合のいい解釈で納得させ、 怯えた瞳の朋美に、また強引に唇を重ねた。 重ねるというより、味わう。 朋美の唇を隙間無く覆い尽くし、吐息も唾液も、全て吸い尽くす。 夢なら覚めないで欲しい。 私が、朋美の全てを味わい尽くすまで。 更にのしかかるように体に力を入れた時、微かに声が聞こえた。 「うぅぅん・・・・、んぅん・・・・、ぃやぁ・・・。」 朋美・・・、 好き・・・、 愛してる、 だから、お願い、今だけ・・・。 逸らされる朋美の顔を唇で追い、 弱く閉じられた唇を、舌でこじ開ける。 差し込んだ舌先で、朋美の口内をなぞる。 隠れるように逸らされた舌を逃さず絡める。 「むぅんん・・・、 ぅんん・・・。」 絡め合う舌と朋美の唇の裏側の、透明な蜜を飲み干す。 甘く香るそれを、残すことなく味わい尽くしたかった。 焦る気持ちと裏腹に、重ねた唇の隙間から、一筋の蜜が決壊する。 いくら味わい尽くしても、不意に朋美は自分の物にはならない・・・ そんな不安が、急激に心の中に渦巻いた。 唐突に、深く重ねていた唇を離す。 夢の中の出来事なのに、眼前の朋美の瞳は、怯えている。 夢の中であっても、朋美は私を受け入れてはくれない。 途端に、力ずくで朋美を押さえつけていることが、虚しく、哀しく、苦しくなった。 |
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