『めぐり逢えたら -和美Side-』
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遠い所から、名前を呼ばれている気がする。

「和美!! 和美!?! 起きて、ちょっと、起きて!!」

この声は・・・、そうだ、私が求めて止まない、あの人の声。
途切れた意識から、その声が私を夢の中から引き戻す。

「ん・・・・、 ぅぅん・・・。」

「起きて! ここで寝ちゃダメ! ほら、寝るならベッドに行こう!!」

まだ、意識が戻らず、朦朧としながら、体を朋美に支えられている事に気付く。
そのまま、体を引きずられるように引っ張られ、その方向に、かろうじて足を進める。

力尽きた朋美の支えを失い、体を投げ出すようにベッドへ倒れ込む。
けれど、朋美の体だけは離さなかった。

頬を軽く叩かれる感触がする。
朋美に、頬を優しく叩かれ、うっすらと目を開けると、朋美の顔がぼんやりと視界に入った。

「和美、このまま寝ちゃだめだよ、ほら、ちゃんと着替えて寝ようよ。」

焦点が合い、朋美がそこに居ることを確認できる。
すると、朋美が体を起こして、起きあがろうとしている。

イヤだ!!

咄嗟に離れていく朋美の右腕を引き寄せ、
朋美の体ごと全身の力で引き戻す。

急に強引な力で引き寄せられた朋美の体は、しなるように私の体の上に重なる。

どこにも行かさないっ!!

重なった体を反転させ、強引に朋美の体を組み敷いた。

眼前には、何が起きたのか解らないように、瞳を開ききった朋美の顔があった。

「か、和美っ? ど、どうしたの? ちょ、ちょっと、酔っぱらってるの?」

そう言うと、朋美は体を捩り、私の腕の中から逃れようともがいている。

逃さない・・・、

か弱い朋美の体を渾身の力で押さえつけ、全身で覆い被さる。

「酔ってない・・・。」

絶対に離さない・・・、
その意味を込めて、朋美の声に答える。

朋美が、これ以上何も言えないように、
強引に、その唇を塞いだ。

「ぅんん・・・・・。」

私の唇を感じた途端に、朋美の全身が一瞬硬直したことを感じた。

押さえつけるように、逃さないように、唇を更に深く、強引に重ねる。

「ぅんん・・・・・。」

唇の隙間から、朋美に喘ぎ声が漏れる。
それを聞くと、体中の血が煮えたぎるように、全身が熱くなる。

その声をもっと聞きたくて、唇と体に力を込めて重ね合わせた。


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