『めぐり逢えたら -和美Side-』
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「和美、もう飲むの辞めた方がいいよ。明日辛くなるよ? 普段飲まないんだから。」

いつもよりもかなり多めのワインを口にしている私の様子に、朋美は心配している。
私が飲んでしまった分、朋美が飲み足らないのような気がする。

「まだ物足りなくて、朋美はまだ飲めるでしょ?」

朋美の心配をよそに、再度ワインを空けようとすると、ボトルを取り上げられた。

「和美、ダメだって。 少し時間をおかないと、ねっ?」

和美は立ち上がって、私の隣りから離れていった。

ワインを止められた時、ボトルを取り上げられた時に、私の手に重ねられた朋美の手。
その感触が暖かく、いつまでも触れて欲しかった。
なのに、朋美は不意に、私から離れてしまう。

イヤだ・・・。
離れたくない・・・。

立ち上がり、朋美の後を追い、背後に立つ。

冷蔵庫から500mlのペットボトルを取り出した朋美が振り返り様に、
私が目の前にいることに驚いていた。

「えっ?? も、もう、びっくりするじゃない。」

目の前の朋美。
手を伸ばせば触れられる距離の朋美に、自然と両手を伸ばしていた。

衝動的に朋美を抱きしめる。
全身に、朋美の体の感触を感じ、体中が震え上がるほどに歓喜する。

朋美、
朋美、もう離したくない、

ガタンと、朋美が手にしていたペットボトルが床に落ちる音がした。

「か、和美??」

耳元から朋美の小さな掠り声が聞こえる。
その声を聞くだけで、胸が締め付けられるように苦しくなる。

その苦しさを噛みしめるように、ギュッと朋美に回した腕に力を強く抱きしめ直す。

腕の中の朋美は、嫌がることも暴れることもなく、私の腕の中にいる。
部屋の中の静寂が、朋美を力任せに抱きしめたこと責められているようで
更に胸が締め付けられる。

胸の苦しさか、飲んだワインの酔いが回ったのか、
急に頭の中の酸素が欠乏し、意識がとぎれそうになる。

意識を手放す間際に、
一瞬、背中にか弱くも、しっかりと回され抱きしめ返された朋美の手を感じた。

朋美・・・。

暖かく、優しいその腕の感触が、優しく夢の中に私を誘った。


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