『めぐり逢えたら -最終部-』
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【朋美Side34】

和美のピアスにそっと触れる。

「この石の石言葉はね・・・、“変わらぬ想い”なの。」

「離れていても、ずっと和美の事を想う、そういった意味を込めて贈ったの。」

「朋美・・・。」

「でも、それも今日で終わりにするから。 だから、返して欲しいの。」

そう告げて、和美のピアスを外そうと耳の裏に触れた時、その手を和美に握られた。

「和美??」

「外さない。 外さなくていいの。」

「和美?? 一体何を??」

握られた手を強く引っ張られた。

「あっ・・・。」

手を引っ張られ、和美の顔面が目の前に来たと思った瞬間、

?!??

唇を和美に塞がれた。
何が起きているのか解らなかった。
唇に、ぬるりとなにかなま暖かいものが触れている。

これは・・・?!!

それが、和美の唇であることに気づいた時には、唇を飲み込まれるほどに深く
重ねられていた。

苦しい・・・、息ができない・・・、酸素が・・・。

でも、甘い・・・。

胸が痺れ、脳の中の酸素も欠乏し、意識が遠のく一歩手前で、唇が解放された。

「朋美・・・。」

「はぁっ・・・、はぁっ・・・、か、和美??」

唇が離されたと同時に、ぎゅっと力強く抱きしめられる。
何がおきているの?? これは、誰?? 和美?? 和美なの??

抱きしめられた力が不意に弱まり、上半身がかくんと和美の身体にしなだれる。
全身の力が入らない。 和美の肩に、寄り添っていると、

「朋美・・・、愛してる。」

耳元で、熱い吐息と一緒に、信じられない言葉が囁かれる。

えっ?

和美、今何を??

「ずっと、ずっと前から、朋美の事が好きだった。
会社に入る前の面接で出会ったときから、恋い焦がれてた。

朋美、いままでも、これから、ずっと愛してる。」

これは夢?

信じられない言葉が、和美の口から紡がれる。
私の願望のように、待ち焦がれた、願い続けた言葉ばかり。

夢ごこちに酔いながら、力の入らない頭を起こし、和美の顔を見つめる。

とても優しく、穏やかで、とても愛おしそうに、見つめられる。

「和美・・・、これは夢なの?」

「夢じゃないよ。 夢じゃない証拠を見せてあげる。」

穏やかに微笑みながら、握られていた手と、肩をそっと押されて、
上半身が、ベッドに倒される。

「か、和美??」

手と肩を押さえ込まれ、そのまま和美が胸の上に覆い被さる。

「朋美、愛してる・・・。」

眼前でそう呟いた朋美の唇がもう一度、深く私の唇を塞いだ。

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