『めぐり逢えたら -最終部-』
<<TOPに戻る

【朋美Side33】

和美が会社を去ってから、もうすぐ1ヶ月になろうとしていた。

最近、どうも身体の調子がおかしい。
胃が時々キリキリと痛む。

時々、立ちくらみもする。

疲れが溜まっているのだろうか。
それとも、精神的なダメージのせいか。

食事もあまり食べれない。
一度、病院に行くべきか・・・と思うものの、仕事があって、つい行きそびれている。

そんな日々を過ごしていたある日、滝川さんに呼び止められた。

「朋美、顔色が悪いけど、どこか悪いの?」

「あっ、いえ、最近ちょっと胃の調子があまり良くなくて。」

「そう? 無理をしてはダメよ。」

「はい。 で、私に何か話があったのでは?」

「あっ、えぇ・・・。」

「なんですか?」

「他の人から耳に入るより、先に伝えていた方がいいと思って。」

「何の事ですか?」

「早川さん・・・、結婚が決まったそうよ。」

「えっ??」

「急な話だけど、来月に。」

「そ、そうですか・・・。 和美、結婚するんですか・・・。」

「朋美??」

「そうですか・・・。そっか・・・。」

覚えているのはそこまでだった。
その後、私は意識を失った。



「んぅん・・・。」

目覚めた時、そこは病院のベッドだった。

ここは・・・?

「朋美、大丈夫?? 会社でいきなり倒れたのよ。」

「あっ、そうですか・・・。
すみません、また滝川さんにご迷惑をおかけして・・・。」

「いいのよ、あなたは何も心配しなくていいわ。」

「すみません、もう大丈夫です。」

「ダメよ!! 起きては!!」

「えっ?」

「あなた、もう少し検査があるの。」

「検査ですか??」

「あなた、ひどい胃潰瘍だそうよ。」

「えっ??」

「だから、もう少しちゃんと検査をしなければいけないわ。
会社の事は心配しなくていいから。 あと、ご両親にも連絡してあるわ。」

「す、すみません・・・。」

「そんなに思い詰めていたのね・・・。」

「えっ?」

「いえ、なんでもないわ。」

「色々ありがとうございます。」

「あなたは、まず自分の身体を大切にしなさい。」

そういって、滝川さんは病室を離れていった。

それからしばらくして、両親が駆けつけた。
いきなり、どうしたんだ?と問いつめられたけれど、
少し疲れが溜まっているだけだと説明した。

結局、しばらく入院することになった。
期間については、検査の結果が出ていないので、まだ解らなかった。

入院してからは、毎日会社が終わった後に、滝川さんが見舞いに来てくれた。

和美の言葉を思い出す。
滝川さんは、本当に私の事を思ってくれている。

和美の結婚が決まった今、私もいい加減に吹っ切らなければならない。

入院して4日目の夕方、いつものように見舞いに来てくれた滝川さんに、
最後のお願いをした。

「和美に・・・、和美に逢わせてもらえませんか?」

滝川さんは、解った、と一言返事をしてくれた。

次のページへ>>