[PR] この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。
『めぐり逢えたら -最終部-』 |
<<TOPに戻る |
【朋美Side33】 涙が止まらない。 和美の名前を耳にした途端、溢れる想いと、拒絶した悲しみで、涙が止まらなかった。 「うっ・・・、うぅっ・・・。うぅぅっ・・。」 両手で顔を覆い涙を隠した。 「そう・・・、逢ったのね・・・。」 私の態度を見て、滝川さんは、和美に会った事を悟った。 「早川さんと、ちゃんと話をしたの? 気持ちを伝えたの??」 一番痛い、聞かれたくない事を突かれる。 「うっ・・・、全て、話しました・・・、で、でも・・・、きょ、拒絶されました。」 それだけ伝えるのが精一杯だった。 今日起きたことを、自分の口から出した時、その時の情景を思い出し 更に、涙が溢れ、止まらなかった。 「そう・・・。」 滝川さんは、それ以上何も言わなかった。 ただ、何も言わず、何もせず、ただ、そこに座っていた。 「朋美、これは??」 テーブルの上に置いていた、和美から貰った懐中時計が、滝川さんの目に留まった。 「そ、それは・・・、最後の日に・・・、和美が・・・、くれたもの・・・です・・・。」 「そう・・・。少し見せてもらっていいかしら?」 そう言いながら、滝川さんが懐中時計の蓋を開け時計を見る。 止まらない涙を抑えながら、その様子をずっと見ていた。 滝川さんの視線が、ふと蓋の裏側に移った。 「これは・・・、朋美、これは、本当に最後の日に貰ったの??」 「はい・・・。」 「何か他に、早川さんは、何か他に言ってなかった??」 「いえ・・・。 ただ、手紙が一緒に添えてありましたが・・・。」 「その手紙には、何か特別な事が書いてなかった??」 突然、厳しい口調で、滝川さんに問いつめられる。 「特別な事って・・・、ただ、 ”いつか、想いが届くこと、幸せになることを心から願って” と、書いてありましたが・・・。」 それを聞いた滝川さんの表情が、クッと厳しくなった。 「ごめんなさい、今日はこれで失礼するわ。 辛いのは解るけれど、明日はきちんと会社にくるようにね。」 言われなくても解っている。 「解っています。」 ここでいい、と言って、滝川さんは玄関を後にした。 |
次のページへ>> |