『めぐり逢えたら -最終部-』
<<TOPに戻る

【和美Side32】

突然手を握られ、心臓が飛び跳ねる。
刺されるような瞳に、心を射抜かれる。

ダメだ、
ダメだ、今すぐ、ここを出なければ、

握られた手をふりほどき、鞄を掴んでソファーから立ち上がる。

「ごめん、朋美、ちょっともう時間がないから・・・。」

朋美を避けるようにリビングを出る。

「和美!!」

慌てて立ち上がる朋美が私を追う。

逃げるように玄関へ向かう途中、腕をものすごい力で引っ張られた。

ドタンッ!

「あぅっ・・・。」

何が起きたのか解らない。
背中と頭に強い痛みが走った。

壁に身体と頭を強打した。
朋美に腕を引っ張られた後、壁に押しつけられた事に気づいた。

両腕を頭の脇に押さえられている。
痛みで瞑った目を開くと、眼前に朋美の顔があった。

「はっ!! えっ???」

「和美、私の好きな人が誰なのか教えてあげる。」

「あっ、いや、私は別・・・。んぅっ・・・。」

私は別にそんな事は別に知りたくない、と言おうとした時、
強引に口を塞がれた。

(!!っ???)

視界がぼやけるほどの至近距離に、朋美の閉じられた目が見える。
唇に、何か柔らかく温かいものが当てられている。

!?!!!

朋美にキスされている?!

やっと今の状況が把握できた時、不意に唇を離された。

「はぁっ・・・。」

「私がずっと好きだったのは・・・、和美、あなたなの。」

一度離された唇が、衝撃の事実を伝える。

「と、朋美・・・、むぅっ・・・。」

全身に激しい痺れが走ったと同時に、また唇をふさがれた。
朋美とキスしているという事実が、頭の中を痺れさせる。
体中の力が抜ける。
崩れ落ちる私の身体を両手で支えながらも、朋美は唇を重ねていた。

次のページへ>>