『めぐり逢えたら -最終部-』
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【和美Side17】

ここに滝川さんがいる、
日曜の昼間。

「?!っ」

滝川さんは、声も出せないほどに驚き、ただ、唖然として私を見ている。
朋美のマンション、日曜の昼間に出口から出てきた滝川さん、

これは・・・。

一瞬にして頭の中の思考がフル回転して一つの答えを瞬時にはじきだした。

滝川さんは、朋美の部屋を訪ねていた。
今丁度帰る所だとすると、すでに部屋に上がったはず。
日曜の昼に、お見舞いに来た滝川さんを、すぐに朋美が帰すはずがない。

ということは・・・、滝川さんは朋美の部屋に泊まっていた?

昔の恋人同士だった滝川さんと朋美、
今、朋美が思う相手が誰なのかは知らない。

けれど、訪ねて来た昔の恋人を、何も思っていないのならそのまま泊めるだろうか??

否、何も思っていないのなら、泊めるはずがない。
それじゃ、泊める相手は、どういう人?

「お見舞いにいらしていたんですね・・・。」

思考がどんどん発展している中、もう1人の冷静な私が、自然と滝川さんに喋り掛けていた。

「あっ、えっ、えぇ・・・。」

「朋美の具合は、どうですか? もう、落ち着いたようですか?」

「え、えぇ、もう随分良くなったみたいよ。 明日は会社でれるんじゃないかしら。」

「そうですか、それじゃ、今日は失礼します。」

「えっ?? は、早川さん??」

「滝川さんがお見舞いして下さって、せっかく朋美が落ち着いたのに
私がお邪魔して気を使わせると悪いですから。」

それじゃ、失礼します───と、体を反転させ、歩き出す。

「は、早川さん!! ちょ、ちょっと!!」

滝川さんに肩を掴まれる。

「早川さん、朋美のお見舞いに来てくれたんでしょ?
あなたが来てくれると、朋美きっと喜ぶから、行った方がいいわ。」

「滝川さんが、朋美の側にいて落ち着いたなら、私は行かない方がいいんです。」

「そ、そんなことないわ、朋美は、あたなが来てくれたなら、きっと喜ぶから!!」

「今、朋美の側にいるのは、私じゃなくて、滝川さんの方がいいんです。
朋美の側に居てあげてください。 今は、あなたが側にいるべきです。」

そう、今朋美の側に居るべきなのは私じゃない、滝川さんだ。

「それじゃ、失礼します。」

ここで滝川さんに会ったことで、一つの答えが自分の中に浮かび上がった。

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