『めぐり逢えたら -最終部-』
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【朋美Side12】

「どうぞ。」

「あっ、そんな構わないでいいから。
 体調まだ悪いんだから、何もしないで、座っていて。」

滝川さんにお茶を入れ、上下のスウェットにガウンを掛けた姿で
対角線上になるコーナーソファーに座った。

「今日、午後にね、早川さんからメールが入ったの。 少し話がしたいって。」

和美の名前が、滝川さんの口から出ただけで、ピクンと反応してしまう。

「定時過ぎてから、喫茶店に行って、話をしたわ・・・。」

「和美の話しって、一体なんだったんですか?」

悠然と聞く余裕なんてなかった。
単刀直入に、本題のみを聞きたくて、喰ってかかるように、滝川さんに訊ねた。

「早川さん、私とあなたとの関係に気付いたの。」

「えっ? えぇっ??? な、なっ?!!」

「早川さんに、私の昔の相手は、自分の良く知ってる人じゃないかって、問いつめられたわ。」

「な、なんで!!」

「どうして知ったのかは、解らないの。
 けれど、早川さんが、自分の良く知ってる人だって言った時点で、もう気付いたんだと思ったの。」

「言ったんですかっ!!」

「えぇ、全部話ししたわ。」

目の前が真っ暗になる。
和美に、滝川さんとの事を知られた。
昔、つき合っていたこと、恋人だったこと。

そして、私がゲイ(同性愛者)であることを・・・。

「あぁーーーっ。」

絶望と落胆の声が無意識に零れ、ソファーの下に崩れ落ちた。

「朋美!!」

崩れ落ちた体を支えられ、ベッドに横たえられる。
自分では泣くつもりはないのに、勝手に涙が頬を伝う。

知られた・・・、和美に知られた・・・。

だから、だから電話が鳴らない?

もう、ダメだ・・・、

嫌われた・・・
きっと、軽蔑された・・・

和美に、避けられた・・・

もう、全てが終わった・・・。

「うっ・・、うぅっ・・・。」

ベッドに座る滝川さんに背を向けて、両手で顔を覆いながら、今まで以上に涙が溢れた。


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