『めぐり逢えたら -最終部-』
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【朋美Side11】

時計を見ると、19時を過ぎていた。

何度も携帯を確認する。 けれど、着信履歴にはなにもなかった。

それでも待ち続けるしかなかった。
ぐっと力を込めて、鳴らない電話を握りしめ続ける。

何かを口にしなければ、と思い立ち上がって台所へ行く。
冷蔵庫から、牛乳と棚の中の食パンを取り出す。

サイコロ型に食パンを切って、牛乳に浸してレンジで暖めて
砂糖を少しかけて、オートミールもどきを作って口にする。

このままじゃいけない、
とにかく、少しずつでも体力を元に戻したかった。

食べ終わった後、テレビを付け、気を逸らしながら携帯が鳴るのを待ち続けた。

時計を見ると、21時。

とっくに和美は部屋に帰っている時間。
やはりもう話をしてくれないのか・・・。
溜息と不安が口から漏れた。

22時

土日ゆっくりと体を休めて月曜から会社に行かなければ。
来週1週間しか和美はいない・・・。

そう思い、早めに布団に入ろうとしたとき、諦め欠けていた携帯が鳴りだした。

「もしもし?? 和美??」

「朋美?」

えっ・・・。

待ち焦がれた電話は、和美ではなく、滝川さんだった。

「あっ・・・。」

「もしもし? 朋美? 朋美??」

「あっ、はい・・・。」

「どう? 体調は。」

「すみません、ご心配をおかけしまして。 随分良くなりました。」

「そう・・・、あのね、今からそっちに行ってもいいかしら?」

「はぁ? 今から、うちにですか??」

「そう、少し話したいことがあるのだけど、駄目かしら?」

「すみません、ちょっと部屋がちらかっているので・・・。」

遠まわしに断ろうとすると、

「今日、夕方早川さんと話をしたの。」

「えっ?!」

電話を切った後、滝川さんを迎えるために、簡単に部屋の片付けをした。
30後、玄関のチャイムが鳴った。

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