『めぐり逢えたら -最終部-』 |
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【朋美Side10】 家に帰り、着替えてベッドに横になる。 せっかく、今日和美と話ができると思っていたのに。 きちんと、全てを和美の口から聞けると思っていたのに。 和美の顔をみて、和美の目の前で倒れてしまった。 和美は、心配してくれてるだろうか・・・。 優しいから、きっと心を痛めてるだろう。 和美は、自分の事より、いつも私の心配ばかりしてくれた。 私が甘えたい時、いつも側にいてくれた。 優しかった、温かかった和美・・・。 でも、あの日から、和美は変わってしまった? 何も言わずに去ったあの日、 何度も連絡を入れても、繋がらない電話、 何通もメールを送ったのに、返信が来ないメール。 あれだけ、いつも側にいて、身近に感じた和美が、 知らない人のように変わっているようで不安になった。 滝川さんに縋り付いて泣いた。 狡いと思う。 こんな時だけ、こんな弱っている時だけ頼るなんて、本当に狡い。 しかも、滝川さんに私の好きな相手が和美だと知られた。 知った上で、優しくしてくれた。 私はそんな滝川さんに、和美へ伝言さえ預けてしまった。 それほどにまで、私は余裕がなく、必死だった。 滝川さんはきっと伝えてくれているはず。 何時鳴ってもいいように、すぐに電話に出られるように、 携帯の着信音を最大に設定して、携帯を握りしめながらベッドに横たわる。 伝言を聞いて連絡をくれるだろうか・・・。 でも、目の前で倒れた私の事を気にしていないはずはない。 都合のいいように勝手に思いこんで、ベッドに横になり、目を閉じて電話が鳴るのを待った。 夢の中で、和美が優しく微笑んでくれる。 辞めるのは冗談、いつも一緒にいるから 夢の中の和美は、いつものように、優しく笑う。 こんな夢を見たい、見続けたい。 目を閉じて、夢の中へ行きたいのに、やはり眠れない。 体がだるくて、寝不足気味で、目を閉じれば、すぐにでも眠りに落ちれるはずなのに、 なのに、意識が眠りについてくれない。 眠りたい、眠って今の事を少しでも忘れたい、 そう思っても、体は言うことを聞いてくれない。 起きていれば、和美の事ばかり考える。 和美の事を想えば、眠れるはずがない。 ベッドから、リモコンでテレビを付ける。 テレビの音で、意識を少しでも逸らしたい。 呆然としながら、鳴らない電話を握りしめ、時間だけが過ぎていった。 |
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