『めぐり逢えたら -最終部-』
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【和美Side14】

「朋美は、、就職と同時に、つき合っていた彼女に振られたらく、
 腹いせに、1晩のつき合いを求めて、飲んでいたのだけど、
 いざ、誘われても、その気にならなかったって言っていたわ。

 結局、そのままそこにいて、ナンパを一方的に振っていると
 不穏な雰囲気になりそうだったから、店から連れ出したの。

 その日は、結局私の部屋に泊めたの。
 何もしないで、ただベッドに一緒に寝ただけ。

 翌日、彼女は申し訳なさそうにしていたけれど、
 その日がきっかけで、私たちは近づき、そのうちつき合うようになったの。」

「この間、私に話した通りなら、別れた理由も、転勤だったんですか?」

「そう、この間話した事は全部本当よ。
 それから、こっちに戻って来る日に、朋美にメールを出した。

 逢いたい、逢って今だから伝えたい事があるって。
 そしたら、彼女が来た。

 逢いに来てくれた事が嬉しくて、思わずもう一度やり直そうと伝えたけれど・・・。」

「けど??」

「彼女は、今想う人がいるからって振られたわ。」

「・・・。」

全てを滝川さんの言葉で知った。
けれど、全て知ったところで、何も変わらないということに、今初めて気が付いた。

朋美には今想う人がいる。

この事実がある以上、昔の事を知った所で、何も意味を成さない。

「早川さん?」

不意に滝川さんに呼ばれる。

「早川さんは、ま、朋美の事、どう思ってる?」

どう思ってる? 突然変な質問をされる。

「どう思っているって、どういう意味ですか?」

「気持ち悪いと思う? 私たちの事。」

突然、意味が分からないことを聞かれる。

「なんの事ですか??」

「私たち、レズビアンの事、気持ち悪いと思う?」

「そ、そんなことは!!」

そんな事、あるはずがない・・・。 自分も、朋美を思う自分だってそうなのだから。

「そう・・・、なら良かった。」

ホッとしたような、安心した表情で、滝川さんは私の顔を見る。
滝川さんの安心とは裏腹に、私の不安はもっと大きくなっていく。

想う相手がいる朋美を、私は無理矢理襲い、傷つけ、汚してしまった。
滝川さんと目を合わせるのが辛くて、私は俯くことしか出来なかった。

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