『めぐり逢えたら -最終部-』
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【和美Side12】

午後の仕事は手に着かなかった。
脳裏に浮かぶ結論と疑問が、繰り返し脳裏に浮かんでは消えてゆく。

早く定時が過ぎて欲しい。
滝川さんと話をしたい。

仕事中に思い切って、滝川さんにメールを送る。

件名:朋美の事で

朋美の事で、お聞きしたい事があります。
今日お時間を貰えないでしょうか。


席で仕事をしている滝川さんから、すぐに返事が来た。

件名:Re:朋美の事で

私も、早川さんに話したい事があったから丁度良かった。
定時後、18:30に1Fロビーで。

解りましたと返事を書き、定時後になるのを待つ。

滝川さんに聞きたい事が、すぐにでもあふれ出しそうで、
必死に押さえながら時間が過ぎるのを待った。


18:30、着替え終わり、ロビーにいると、滝川さんがやってきた。

「この間のお店でいい? それとも、今日は違う所がいいかしら?」

「どこでもかまいません。それに、食事ではなくお話したいだけですから。」

「そう、じゃ、どこか喫茶店でもいいかしら?」

「はい。」

それだけ言うと、滝川さんはタクシーを呼ぶと、隣りの駅でよく雑誌などに取り上げられる
物静かで、お洒落な喫茶店に車を着けた。

「ここなら、ゆっくり話ができるわ。」

案内された店は、落ち着いていて薄暗く、壁には高級なブランドのカップが並べられていた。
メニューを見ると、珈琲1杯、1,500〜、紅茶も、1杯1,000〜とかなり高いものだった。

「なんでもいいかしら?」

「私は紅茶を。」

「それじゃ、ブルーマウンテンを1つと、ダージリンを1つ。」

オーダが済んだ後も、滝川さんは落ち着いていた。
私は対照的に、喉から込み上げそうになっている疑問を早く吐き出したかった。

「それで、話しって何かしら?」

「あ、あの・・・。」

突然話しの口火を切られ、言いたい事が多くあるのに、どう切り出していいのか悩み、口がどもる。

「何か、そんなに言いにくい事なのかしら?」

「あ、あの!!」

意を決して、私は一番聞きたかった事を、単刀直入に切り出した。


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