『めぐり逢えたら -最終部-』
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【和美Side9】

「えっ?!」

送られたメールは、件名だけでも、十分に伝わるほど切実なものばかりだった。


[今どこですか?? 連絡ください!]
[お願い! メールを読んで!!]
[このメール読んだら連絡を!!]
[お願い、連絡下さい!!]
[お願いだから、連絡して!!]
[和美、少しだけでも話しを!]
[メールでいい、一言連絡下さい]


あんなに酷いことをしたのに、朋美は、怒るどころか、私の心配をしている。
恐る恐るメールを開く。

何がなんだか解らない
お願い、ちゃんと話を聞かせて
逢いたい、逢ってちゃんと話したい
お願い、お願いだから連絡を下さい

このメールは、あの日、書き置きをして、家を出た日に送られたもの。

あと6通も、これに似た、悲痛な叫びのように
私の連絡を請うものばかりだった。

メールを読む限り、朋美は、あの日の事について、
私を憎悪を抱いたり、恨み言を言うような事はなかった。

ただ、突然消えた私の事を心配して、連絡をずっと待っていた。

「うぅっ・・・、ごめん、朋美。 ごめん・・・。」

携帯を握りしめ、本人に届くはずのない謝罪を呟く。

いつだって、朋美は優しかった。

私が自分から避けるようにしていても、病気になったら見舞いに来てくれた。

私が強引に抱いても、いいよ・・・と迎え入れてくれた。

私は・・・、
私は、朋美の気持ちも、優しさも、どれも全て踏みにじっている。

涙を流しながら、自分の自分勝手な自分の行動をただ悔いる。

嫌われていなかった、
軽蔑されてはいなかった、

ただ、朋美は、私を捜して、連絡を待っていた。

私が一週間連絡を絶っていたということは、
その分だけ、朋美が連絡を待ち続けたということ。

一週間も長い間、私が逃げて隠れていた間、
その時間分、私は朋美を追いつめてしまった。

朋美に逢いたい、朋美に詫びたい、
その想いに突き動かされ、診療所へと急いだ。

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