『めぐり逢えたら -最終部-』
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【和美Side7】

「と、朋美!! 朋美!!!」

突然の事で何がおきたか解らず、倒れ込んできた朋美の体を全身で受け止める。

えっ?!

朋美の体が軽くて驚く。
女の私でも、支えられるほど、朋美の体は、細く、弱く、軽かった。

体を揺すり、朋美の声を掛ける。

「朋美!! 朋美、どうしたの!! 朋美!!」

う、うぅぅん・・ 微かな声が聞こえるものの、朋美の意識はほとんどない。

「だ、誰か!! 誰か、手を貸してください!!」

出る限りの声を張り上げ、助けを求めた。
数人の人が駆けつけてくれ、診療所の先生を呼んでくれた。

すぐに診療所の先生がかけつけ、そっと床にタオルを置いて、朋美を横たわらせる。
ひたすら朋美の手を握り、様子をじっと見つめていると、背後から一段と大きな声が聞こえた。

「一体どうしたの!!」

その声は滝川さんのものだった。

「早川さん、一体何があったのっ!!」

「解らないんです、突然朋美に声を掛けられたかと思ったら、倒れてきて・・・。」

問いつめられた滝川さんに事情を話していると、

「脈拍と血圧は問題ありません、おそらく、貧血と疲労でしょう。」

診療所の先生が、診察した結果を伝えてくれる。

貧血と疲労・・・、朋美、一体どうしてこんなに・・・。

赤く腫れ、隈のできた目元、青ざめたように白い顔。

「今週ずっと、松下さん少し元気がなかったのよね・・・。 早川さん何か知ってる?」

不意に滝川さんから聞かれた言葉。

先週から様子がおかしかった??

先週から??  私が去った後から??
朋美をこんなにしてしまったのは、私? 朋美をこんなに追いつめたのは私??

「それじゃ、そこの2人の方、手を貸してください。、松下さんを、診療所の方へ。」

滝川さんの言葉が、遠い所から聞こえる。
救急用の担架に朋美が乗せられ、握っていた朋美の手が私の手からスルリと抜ける。

「先生、診療所で少し彼女を休ませてください。 しばらく様子を見て、必要でしたら病院へ。」

「解りました。」

滝川さんが診療所の医師に話をつけ、速やかに事が運ばれた。
私は、何も出来ず、ただ呆然と座り込んでいた。

「早川さん、松下さんの事は先生に任せて、職場へ行きなさい。」

滝川さんに言われ、どうにか体を持ち上げたものの、頭の中から朋美の事が離れなかった。

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