『告白』
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【奈美Side】

「何も思ってない人の事、5年間も考える事なんてできない。
 今日、再会して、やっと・・・、やっと自分の本当の気持ちが分かった。私、奈美の事が好き。」

有希が私を抱きしめている。
有希が耳元でそう呟く。

頭の中が混乱する。

有希が私を好き??

そんな夢のように都合のいいことがある??

「ゆ、有希?? い、今なんて??」

私は体が硬直して、動かせなかった。

「聞こえなかったの?
 私は、奈美の事が好きだって言ったの。」

止まったはずの涙がまたこぼれる。

有希が、有希が私の事を好きだと言ってくれた。
そんな事がある??

5年間、忘れる事ができなかった想い。
ずっと、ずっと後悔していた。 告白しなければ良かったって。
それなのに、5年間、ずっと有希は私の気持ちを忘れないでいてくれた。

「有希・・・、 好き・・・、ずっと、ずっと 今でも好き・・・。」

有希を強く抱き締め返す。 いままでの想いを伝えるように。

抱きしめ合い、そしてやっとお互いの瞳を見つめ合う。 5年ぶりに・・・。

そして、5年ぶりに口づけを交わす。

静かに顔を離すと、有希が体を私に預け、耳元で囁く。

「奈美が男じゃなくても、奈美を恋人にするから。」

昔、冗談半分に言われて、傷ついた言葉が、今はこんなにも自分を喜ばせる。
思わず顔が赤くなる。 もう、あの時のように傷つくことはない。

「それじゃ、キスしても、もう頬を叩かないでね。」

私もお返しに有希の耳元で囁く。
今度は有希の顔が赤くなるのが解る。

お互いに、思わず吹き出し、抱き合いながら笑う。
止まっていた時間、止まっていた気持ちがあふれ出す。

5年ぶりに帰ってきた私の居場所は、有希の腕の中。

あの日、告白していなかったら、この日は来なかったかもしれない。
5年間、後悔しつづけたこの告白があったから、今のこの幸せがやってきた。

初めて今実感する、 告白して良かった・・・と、心から。


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