『いつか、あなたの隣りに -浅野Side-』 |
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(お昼は、パスタでいいかしら?) そろそろ森田さんもお腹が減って目が覚めるころだろう。 自分も食べるために昼食の準備をする。 とりあえず、パスタ鍋をとりだし、水を入れ火に掛けた。 冷蔵庫を開け、食材をチェックし、献立を考える。 大したものはないので、簡単なイタリアンのランチメニューを思い浮かべる。 とりあえず、メニューがそれでいいかを確認するために、森田さんに声を掛けに行く。 「森田さん、目が覚めたかしら? もう昼だけど、起きられる?」 「あっ、は、はい!! 起きれます。 すみません。」 「それじゃ、顔洗ったらリビングにいらっしゃい。 昼食用意しているから。」 「えっ! いや、私、もう起きてすぐに帰りますので、大丈夫です。」 慌てて起きて帰ろうとする彼女を制するように、 「一人でお昼食べるのは、物寂しいから、この際つき合って。」 自分も食べる事をアピールして、昼食へ誘う。 「ありがとうございます。 ご馳走になります。」 素直な返事が返ってきたので、思わず笑みを返し、キッチンへ戻る。 「森田さん、お昼はパスタでいい?」 「は、はい!」 慌てて身支度する森田さんを見て、思わず無意識に笑みがこぼれてしまう。 (そんなに、慌てなくていいのに・・・。) それから、昼食の支度に本格的に取りかかる。 ペペロンチーノとブルスケッタとシーザーズサラダを作る。 料理は嫌いではないけれど、普段は自分の為に仕方なくやっている。 でも、自分が楽しそうに料理をしていることにふと気付く。 (誰かの為に料理をする事を、こんなに嬉しく感じるなんてね・・・。) 自分の中の新しい一面を知り、朝から驚いてしまう。 一人で過ごしてきた事を、いままで何も疑問に思わなかったのに、 誰かがいることで、こんなにも変わるだなんて、思ってもみなかった。 その後、昼食を森田さんと一緒に取る。 特に、意識して会話をする訳でなく、あまり言葉を交わすことはない。 よく考えれば、あまり森田さんと普段、仕事以外の話をした事などないのだから。 ただ、私の作った料理を、それは美味しそうに食べ、満面の笑顔を浮かべて喜んでくれると、 自然とこちらも顔がほころぶ。 食べ終わると後片づけをするという彼女に、今日はお客様だからと制し、 食後に珈琲を淹れてリビングでくつろぐ。 まだ、少し私に緊張しているのか、私の顔を見ると、恥ずかしそうに目をそらす仕草が可愛らしい。 ずっと見守っていた子の素顔に触れて、新しい一面を発見する。 彼女ともう少し話をしたい衝動に駆られる。 そんな時、無情にも彼女の口から帰宅する意志を告げられた。 |
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