『いつか、あなたの隣りに』
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次に目を覚ました時、優しく包まれていた感触はなくなっていて、隣りにいたはずの浅野さんの姿は無かった。

夢・・・?

そんな感覚に囚われる。 でも、ここは間違いなく浅野さんの部屋の寝室で、私はそこに寝ていて。
あれは、夢だった?

目が覚めたのに、現実と夢との区別がつかなくて、ぼーっと考え込んでいると

「森田さん、目が覚めたかしら? もう昼だけど、起きられる?」

「あっ、は、はい!! 起きれます。 すみません。」

「それじゃ、顔洗ったらリビングにいらっしゃい。 昼食用意しているから。」

「えっ! いや、私、もう起きてすぐに帰りますので、大丈夫です。」

「一人でお昼食べるのは、物寂しいから、この際つき合って。」

そう言われると、断る方が不自然。

「ありがとうございます。 ご馳走になります。」

私がそう言うと、浅野さんは、嬉しそうに満面の笑みを浮かべて、キッチンへと消えていった。
その笑顔を一瞬見ただけで、胸がギュッと締め付けられるような感覚に襲われる。

あれ? この感覚・・・、確か・・・。

「森田さん、お昼はパスタでいい?」

「は、はい!」

慌てて返事をしてから、急いで洗面所へ行って身支度を整えた。


それから、お昼は浅野さんの手料理で、ペペロンチーノとブルスケッタとシーザーサラダをご馳走になった。
浅野さんの手料理は本当に美味しくて、短時間でこれだけの料理を作るって事はかなり料理が得意なんだと思う。

お昼をご馳走になってから、食後の珈琲をご馳走になり、しばらくしてから自分のマンションへと帰宅した。

帰り際、ドアを開けて帰るところで、

「森田さん・・・。」

「はい?」

「あっ、ん・・・、あと設計書の確認をお願いね。 もう少しだから頑張って。」

「はい、色々本当にありがとうございました。」

「気をつけて。」

そう見送ってくれた浅野さんは、他にも何か言いたそうな感じがしたのは、気のせいだったのかもしれない。

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