『いつか、あなたの隣りに』
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あの後、仕事は無事完了。 浅野さんが作り上げてくれたプログラム設計書は完璧だった。
普段、上司なんて仕事を投げるだけ投げて、何をやってるのかなんて、把握しているわけがないと
思っていたけれど、この設計書を見ただけで、浅野さんは全てを把握していた事が良く解った。

浅野さんは、あと5年も経験を積めば自分のようになれると言っていた。
でも、私は5年も待てない。

今回の仕事の件で、上司である浅野さんとの能力の差をありありと見せつけられた。
私は、このままでいたくはない。 浅野さんのような技術を身につけたい。
あなたに追いつきたい、そして、いつか、あなたの隣りに並びたい。

けれど、週が明けてから、出勤をすると、浅野さんはいつもの通りだった。
それは、あの日の出来事が幻だったのかと思うくらいに。

何も変わらず、そして、いつもの上司であり、厳しく、冷静な顔の浅野さんだった。

私は何を期待していたのか解らないけれど、いつもと何も変わらないその姿が、少し淋しく感じた。

それから、気が付くと目で追ってしまう。
目が合うだけで、胸が締め付けられるような感覚が甦る。
この感覚、あの日、無防備な寝顔を見た時、優しくふんわりと抱きしめられたあの時に感じたもの。

この気持ち、普通じゃないのかもしれない、おかしいのかもしれない。
同じ女性に、心を奪われるなんて、見ているだけで、胸が苦しくなるなんて。

それでも、あなたの姿を目で追ってしまう。

いつか、あなたに追いつくために、いつか、あなたの隣りに並べるようになるために。



=おわり=







【あとがきと言う名の言い訳】

リクエスト第一段です。
すみません・・・。短編の予定でした。 えぇ、本当は短編のハズだったんです。
なんで、こんなに長くなったかなぁ?? 自分でも良くわかりません。
しかも、中途半端な終わりですねぇ。 これって、浅野Sideいるかなぁ?なんて思ってます。
気が向いたら、続き書くかもです。 とりあえず、こんな感じでご容赦をば。

                                              2006/02/13 かじ