『いつか、あなたの隣りに』
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優しい光を目に感じる。

もう、朝? 今さっき寝たような気がしたのに・・・。
あれっ? 私のベッドってこんなに寝心地良かったっけ? あれ? これなんかいつもの布団の感触じゃない?
ん?? あれ? 今日は土曜日?? 昨日はどうしたんだっけ??

寝ぼけて頭が回らない。 頭がぐるぐると回っている状態で、ゆっくりと目を開けると・・・

「っっ!?!?!!!!」

声にならない悲鳴をめい一杯上げてしまう。
私の眼前に広がるのは、ものすごくアップになった、誰かの喉元。 なんだろう?と顔をゆっくりと上げてみると
その視線の先には、ドアップの浅野さんの顔が!!
一気に目が覚めたと同時に、自分の頭に浅野さんの腕が回され、抱きしめられた体勢になっている事に気付いた。

「えっ!!、えっっっーーーーー!! な、な、なんで?? なんで????」

浅野さんがまだ寝ているので、起こさないように心の中で大絶叫してみる。
一体どうしてこんな事に?? 寝る前の事を思い出そうと考えていると・・・、

「ん・・・、んーーー? あら、森田さん、起きたの?」

頭の上から寝起きで少しハスキーな浅野さんの声が聞こえてきた。

「あっ、えっ、あっ、お、おはようございます。」

「おはよう。 少しは寝れたかしら?」

(あ、あの・・・、できれば、私の頭に回している腕を外してもらえないでしょうか・・・。)
心の中で念じてみるけれど、伝わるはずもなく、浅野さんに顔をのぞき込まれる。

「あっ、は、はい、ぐっすり寝かせていただきました・・・。」

「えっと、今何時なのかしら・・・、あぁ、まだ8時なのね。 まだ起きるには早いわ、もう少し寝ましょう。」

(えっ? えぇぇぇぇーーーーー!!!!)

そう言うと、浅野さんは、私の頭を腕で抱え込み直して目を閉じてしまう。
そ、そんな、あの、私、このまま寝るなんて、と、とてもできな・・・

(思い出した!!)

寝る前の出来事を思い出した。 泣き出した私を、浅野さんがゆっくりと抱きしめてなだめてくれたことを。
それで落ち着いて、安堵して、気が抜けて、私は眠りに落ちてしまった事を。

思い出して、顔を上げて浅野さんの寝顔を見ると、思わず見とれてしまった。
元々、薄化粧な浅野さんの寝顔は普段と変わりないけれど、無防備で、会社で見るような堅く厳しい表情ではない。
とても穏やかな表情で、そして、とても綺麗で、とても美しかった。

普段、いくら同じ女性同士であっても、こんな風にベッドで抱きしめられる事なんてない。
なのに、嫌な気分どころか、優しいその腕と体と顔に感じる優しい浅野さんの感触が、とても気持ち良くて心地よくて。

浅野さんの寝顔に見とれてしまい、胸がギュッと締め付けられるような気がするけれど、徐々に
抱きしめられている優しく暖かさに包まれて、ゆっくりと意識が遠のいていった。

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