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『 Dummy:ダミー』 |
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目の前には、目を閉じた久美の顔。 柔らかく暖かい久美の唇が、自分のそれに重ねられていることを理解すると頭の中が瞬時に沸き出す。 久美に・・・、久美にキスされている?! やっとその事実を把握した時、掴まれていた腕を自分の力でギュっと久美を抱きしめ直す。 「ぅんっ・・・。」 力強く抱きしめすぎたのか、久美が重ねた唇の中から少し声を上げる。 それでも、力を弱める事ができず、自分から久美に力強く唇を重ねた。 「ん・・・、はぁっ、はぁっ・・・。」 「久美・・・。 はぁっ・・・、はぁっ・・・。」 長い間重ねていた唇を離し、お互いの上がった息が、頬をかすめる。 「ケイ・・・、 好き・・・。」 艶っぽい瞳で、久美が気持ちを打ち明けてくれた。 いままで押さえていた気持ちが止まらない、もう止める必要がない。 「久美、私も好き・・・、好きなの・・・、本当に、本当に好き・・・。」 今伝えられるだけの気持ちを言葉にして、今度は、私から久美にキスした。 長い長いキスを終えると、久美の頬に自分の頬を寄せて優しく力強く久美の体を抱きしめた。 「ケイ・・・。」 少しクールダウンした時、久美が小さく私の名前を呼ぶ。 「なに・・・?」 「ずっと前からケイの事好きだったの。」 「ずっとって、いつから?」 「怒らない?」 「ん?? うん、怒らないけど、いつから?」 「あのね・・・、ケイがキスしてくれた時から・・・。」 「えっ?! く、久美、あの時の事、知ってたの?」 「うん・・・、私、あの頃ケイの事、友達として好きだと思っていたの。 でも、寝たフリして、ケイを驚かせようと思ったら、キスされて・・・、胸がキュンと痛くなって。 だけど、キスされた事が嬉しくて。 それで、あぁー、私ケイの事が好きなんだって思って。」 「な、な、なっ・・・・!!!」 「でも、それから、もうそんな事なかったから、あれは、気まぐれだったのかなって思っちゃって。 だけど、ケイにそのことを確かめるのが怖くて、今の関係を壊したくなくて・・・、聞けなかった。」 両手で私の頬を包みながら、潤んだ瞳で見つめられると、それ以上何も言えなかった。 今まで気持ちを伝えなかった事への謝罪の気持ちを込め、頬に当てられていた久美の左手の甲に、キスをした。 |
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