『 Dummy:ダミー』
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放課後・・・。
久美が私のクラスの入り口まで迎えに来てくれていた。

「ケイ、帰ろう♪」

「うん、今行く。」

鞄を持ち、クラスを出る。
学校を出て、駅へ向かうと、久美が今日はちょっと行く所があるからつき合って欲しいと言われる。
帰りに使うのとは逆のホームに行く。

(まさか、この間2人が会っていた所に行く事はないよね・・・)

そんな嫌な予感がしたまま電車に乗る。
嫌な予感は的中し、この間、久美を追った時の駅に下車する。

「ケイ、こっちこっち。」

そのまま、あの時の公園に行くかと思いきや、駅近くの喫茶店に入った。

「久美、ここは?」

「最近お気に入りの喫茶店なの。 ここならゆっくり話が出きると思って。」

「そ、そうなんだ・・・。」

(ここで、私は決定的な失恋をするのか・・・。)

そう思うと、学校近くの喫茶店などではなくて良かったと思う。
自分が良く行きそうな店だと、苦い思い出のせいで、その店にもう行きたくなくなるから。
こんな知らない店だと、もう2度と来ることもないかと思う。

「あのね、私と篠崎先輩の事、ちゃんとケイに話したくって。」

「うん。」

やっぱり・・・と心の中で呟き、自分の覚悟を決める。
その後は、驚いたフリをして、それから良かったねと祝福をしてあげるのが親友の役目だと思う。
その時、自分がちゃんと笑っていられるか自信はないけれど、笑顔で祝福するしかないと思った。

「あのね・・・。」

久美の口から確信が突かれると思ったその時、不意に久美の携帯が鳴る。

「あっ、ごめん。」

そう言うと話を中断して久美は携帯に出る。

「うん、もう着いてる。 うん、はーい♪」

手短に電話を切ると、久美は、

「ごめん、ちょっと待ってくれる?」

と言って、話しを中断した。

?!??

一体なんなんだ? 話を中断されて、若干イラついてしまう。
とりあえず、注文した珈琲が来たので、それを飲み少し気分を落ち着かせる。

すると、私と久美の座っていた席に近づく人の気配を感じる。

「?!っ」

久美の背後から近づいてきた人影は、篠崎先輩だった。

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