『 Dummy:ダミー』
<<TOPに戻る

朝、母親に体調が悪いので、学校を休む事を伝える。
幸い、昨日帰宅後、そのまま寝たことで、どこか調子が悪いと母親も思っていたらしく、特に疑われなかった。
そして、母親が学校に欠席を連絡してくれた。

8時30分

携帯からメールが届いた着信音が聞こえる。
誰からかなんて、見る前に解る。

久美・・・。

携帯を開かず、そのままベッドに戻る。
今は、久美の名前を見るだけでも辛かった。

精神的に参り、食欲があるハズもなく、母親が運んでくれた食事は、少しだけしか口にしなかった。
そのまま夕方もベッドに横になっていた。



玄関先が騒がしい。
近所のおばさんでも来てるのかな?と思っていると、部屋に母親がやってきた。

「久美ちゃんがお見舞いに見えてるわよ。」

背中から声を掛けられる。
携帯のメールに返事をしていなかったからか、この間の屋上での事が気にかかったのか、
久美が家まで来ていた。

今は会いたくない。

「恵、寝ているの?」

私はそのまま寝るフリを続けた。

「しょうがないわね・・・。」

母親は諦めて私の部屋を出た。

「ごめんなさいね、あの子今寝てるのよ。 来てくれた事は話しておくから。」
「そうですか。 すみません、突然お邪魔しまして。」
「ほんとごめんなさいね。」

そんなやりとりが小さく聞こえる。

起きあがり、携帯を開く。
久美からのメールを仕方なく見る。

“ケイ、話したいことがあるの。
 この間きちんと話せなかった事、
 ちゃんときちんと話したいの。
 
 このメールを見たら返事をくれる?“

久美本人の口から、あの事実を告げられるのかと思うと、更に気が滅入ってしまう。

聞きたくない・・・。

私はそのまま、ベッドに潜り込んだ。

次のページへ>>