『Cross roads』
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和美が会社を休んで3日目の朝、私は葛藤していた。

私が最後に入れた1行のメールから、和美からの返信がない。
体調は良くなっているんだろうか? 一人でちゃんと食べているのだろうか?

体調が良くないのに、買い物にいけるはずがない。
3日も休んでいるのに、もしまだ寝込んでいるとしたら、
もしかしたら、何も食べれないでいるんじゃないだろうか??

体調が良くなっているのであれば、私のメールに対して返信してくるはず。
頭の中で、悪い方向にしか思考が進まなくなっていた。

この日、ちょうど仕事の切りが良く、午前中でやるべき事が一段落した。
お昼を一人で食べながら考える。

このまま午後休んで見舞いに行こうか・・・。
でも、嫌がられるかな・・・。
でも、でも、ちゃんと食べているか気になるし・・・。
だけど、行くことで帰って気を使わせちゃうと悪い・・・。
でも、でも・・・。

ぐるぐると考えが交差する中で、午後の始業のチャイムと共に
私は会社を飛び出していた。

和美の様子が気になる、ちゃんと食べているのか、どんな体調なのか。
嫌われても疎まれても、それでもいい。
和美の様子が分かれば、和美の容態が良くなっているのであれば。

会社を出た後、和美のマンションへ向かう前に、店により、
何か和美が食べられそうなものがないかを探す。
病人だから、あまりキツイものはダメだし、するっと食べられて栄養がつくものないかな?と。

いろいろ見て回ったけれど、病人食らしいものは見あたらない。
こうなったら、自分で作るかなと思い、食品売り場で材料を探す。

麺類なら食べられるかな。

私は煮込みうどんの材料と雑炊用の材料、ミネラルウォータ、
それとスポーツ飲料をいくつか買い込んだ。

時計を見ると14時を過ぎている。 私は和美のマンションへと向かった。


和美の部屋の前に付いて、チャイムを鳴らしてみると、何も返事がない。
和美が出てくる気配もない。
ドアの脇の電気のメータを見ると、止まっている。

どこかに出かけている?

行き違いになっちゃったのかな・・・。

諦めて通路に向かおうとした時、エレベータから降りてきた人影が目に入った。
それは、私が良く知っている姿。 そして、少しずつ近づいてくる。
和美・・・。

私から歩み寄る。 私であることが和美に解る距離まで近づく。


「和美、もう体はいいの?」
嬉しさの余り、笑顔で話しかけてしまう。

「朋美・・・。 どうしてここに?」

「会社午後から休み取ったの。 和美のことが心配になってお見舞いに来たの。」

そういった私に、和美は驚きの表情から、笑顔を私に向けてくれた。

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