『Cross roads』
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一週間の始まりである朝、私は不安だった。

土曜日のことがあるので、私は和美にいつも通り接することができるのかが不安で仕方なかった。
昨日1日家で過ごしたことで、気持ち的には落ち着けたとは思ってる。

でも、和美本人を目にしたとき、おかしな挙動にならないのか不安だった。
そんな気持ちで会社に着き、更衣室に入った時、私の不安は皆無になった。

「おはよぉ〜! この間はありがとね。」

視界に和美が映った途端、私は嬉しさのあまり、無意識に笑顔で和美に声を掛けていたから。

そんな私の態度とは裏腹に、和美の様子がおかしいことに気付く。

「お、おはよぉ〜。」

和美の顔は、苦痛で歪んでいる。
私の中の気持ちは急降下し、一気に不安と心配で全身が硬直する。

「和美? 和美?? ど、どうしたの? どこか具合が悪いんじゃないの?」

私の声が届いているのかいないのか、和美は下を向き、無気力に答える。

「ちょっと、風邪を引いたみたいで。」

そういうと、和美は私と目を合わさず、自分のロッカーを開き制服に着替える。

風邪? 体調が悪い?
もしかして、私が泊まった日、居間で寝たことで体調を崩してしまった??

着替えの最中の和美に具合はどうなのかを問いただす。

私の言う言葉が耳障りなのか、私の心配を取り合わずあまり言葉を発しない。

見るからにだるそうで、表情が尋常じゃない和美に、帰ったほうがいいと促すと、

今日はお客さんとの約束があって外せないと言って私の脇をすり抜けて更衣室を後にした。

あまりに素っ気なく冷淡な和美は、数日前の和美とはまるで別人に思えた。
それだけ体調が悪いという事なんだろうか・・・。

呆然としていると始業のチャイムの放送がかかる。
隣の職場の和美の事を気にしながら自分の席についた。

仕事をしながら時々珈琲を淹れるのを理由にして席を立ち、和美の様子を伺う。

どうにか仕事をしているけれど、やはりみるからに体が辛そう。

こんな時、何もできないことが悲しい。
かといって、過剰な心配をしていることを、和美は疎ましく思うだろう。
私は、とりあえず昼休みになるまで様子を見ることにした。

お昼のチャイムの放送が流れる。
いつもより、じれったく長く感じた午前中がようやく終わり、
とりあえず和美を探す。

机に座り、書類の片づけをしている和美が目に入る。
私はおそるおそる声をかけた。
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