『Cross roads』
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帰宅し、自分のベッドに体を横たえて目を伏せる。

昨日の事が少しずつ浮かび上がる。

優しく私を包んで抱きしめてくれた和美。
強引に唇を奪った時に驚いた和美。
私の頬を両手で包み、私の口づけに応えてくれた和美。
ベッドの横で、優しく微笑んでいた和美。

和美・・・。

思い出すたびに胸が軋む。

黙って抱きしめてくれたからなのか。
はじめて交わしたキスのせいなのか。

和美への想いに胸を締め付けられる。
穏やかな掠れ気味の声が頭の中に響く。
口づけを交わした時の目の前にあった澄んだ瞳が頭から離れない。

和美・・・、和美・・・。

打ち明けないって決めたのに。
今のままで我慢することを心に誓ったのに。
今のままで十分幸せだと思っているのに。

解っているのに、触れた唇の柔らかさを知ってしまった今、
押さえきれない欲が込み上げる。

だめ・・・、これ以上はダメ。

自分の気持ちを諫めるように、両腕で自分の体を抱きしめる。

もう1日一緒にいたら、私は耐えられなくて告白してしまっていたかもしれない。
和美の予定が入っていなかったら・・・。 今そう考えるととても怖くなる。

自分の気持ちが抑えられない寸前まできていたから。


1日頭を冷やそう。
そして、月曜からまたいつもの友達に戻ろう。

私は和美が好きだから、だからいつもの私に戻る。
和美が笑ってくれるように、 和美がそばにいてくれるように。


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