『Cross roads』
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「天気もいいし、外に何か食べにいかない?」

和美の提案で、外に出る事にした。
部屋の中にいた和美は、何を考えているのか解らなくなったので、気分転換にはいいかもしれない。

外に出て、いろいろな店を見て回った。
部屋にいた時とは変わり、和美はまた穏やかな顔になったので、ホっとした。

洋服やバックを見たり、CDショップで流行りの曲を探したり、本屋で雑誌を物色したり。
ちょっとしたデートみたいで、楽しかった。

それから近くの和美お勧めの洋食屋さんでご飯を食べた。
もう昼食ではなくて、夕食に近いご飯。 お勧めの店だけあって、
そこで食べたドリアはとても美味しかった。

食べながらいつものように世間話をする。いつもの優しい穏やかな和美。
でも、なんだろう? 何かが違うような気がするけれど、確信がつかめない。

「もう20時だけど、この後どうする? どっかでお茶でもする?」
和美が静かに聞いてきた。

「んと、もうこんな時間かぁー、なんか今日はのんびりしたね。」

今日1日のことを思い出すと、思わず顔がほころんでしまう。

「そうだね。 だらだらのんびりしたね。」

和美の穏やかな声を聞くと、私の中で、欲が出る。
もう少し・・・、もっと和美と一緒にいたい・・・。

「あっ、ねぇ、朋美は明日予定あるの?」

私は伺うようにそう聞くと、

「あっ、ごめん、明日はちょっと朝から出かける用事があるんだ。」

和美は申し訳なさそうに答える。

「そっか、それは残念。もう1泊しちゃおっかなって思っていたから」
私は自分が欲張りなことが少し恥ずかしくなり、照れ混じりに本音を口にする。

「そっか、ごめんね、今度またゆっくりおいで。」
穏やかに和美はそう言ってくれた。 でも、その表情は部屋を出る前に感じた
違和感のある表情そのものだった。 私はこのとき、何か胸騒ぎを感じた。

店を出て、和美が駅まで送ってくれる。

「それじゃ、また月曜にね♪」

見送ってくれた和美の顔は、穏やかだったけれど、どこか淋しげな気がした。

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