『Cross roads』
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遅めの朝食を和美と一緒に取る。
たわいもない会話をする。

テレビを見ながら、なんでもない話をしながら、和美とそんな時間を過ごせるのが嬉しくて
私は笑顔になる。 そんな私に、和美も静かに微笑んでくれる。 とても幸せな時間。

いつまでも、ずっとこの時間が続けばいいのに。
私は心の中でそう呟いていた。

朝食を食べ終えた後、テレビを見ながら、だらだらと過ごす。
居間で寝たから体が痛いという和美と、ベッドの上でゴロゴロする。

雑誌を見ながらベッドに横たわっていると、食欲が満たされた事もあり、睡魔におそわれる。

寝ないように気張っていると、和美に笑われる。

「眠いなら昼寝していいんだよ。 私も体が痛いから、昼寝するつもりだし。」

隣で寝そべりながら本を読んでいた和美が微笑みながら私にそう言うと、
私は誘われるように眠りについた。 和美が側にいてくれる暖かさに包まれながら。


どれくらい寝たのだろう、目が覚めると、横に居るはずの和美の姿がない。
起きあがり、和美の姿を探すと、居間の片隅に、だるそうに壁にもたれかかっている姿があった。

「和美・・・?」

寝る前の和美の雰囲気とは全く違う気がして不安になって声を掛ける。

「ん? どうしたの?」
和美は顔を上げ、静かな笑みを返してくれる。 でも、その笑みには翳りがある。

「あっ、えっと、隣にいたはずなのにいなくなっていたから。」
私は、和美の笑顔に少し違和感を感じながらおそるおそる答える。

「あぁ、少し前に目が覚めたから。」
和美は優しく答えてくれるけれど、どこか淋しさが伴っている。

「そう・・・。」
寝る前にあれだけ幸せだった気持ちに少しの不安が込み上げてくる。
そんな私の気持ちを察したのか、和美は優しく話しかけてきてくれる。

「まだ眠い? それともお腹減った? 何か食べる?」

一体あれからどのくらい時間が過ぎたんだろう。

「今何時?」

時間を聞くと、16時を過ぎていた。

「そういえば、朋美は今日何時頃帰る?」

声はいつものように聞こえる。気のせい?
そう思いながらも、和美は私と目を合わせてはくれなかった事に、また少しの不安を覚えた。

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