『Cross roads』
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目が覚めると、すっかり眩しい日差しが窓から差し込んでいた。

あれからまた寝てしまったんだ・・・、そう思い時計を見ると、9時半を過ぎていた。
ワインをかなり飲んだこともあり、少し頭が重い。 2日酔いというほどではないけれど、少しぼーっとしてしまう。

そういえば、和美は?と思い、辺りを探すけれど姿がない。
耳を澄ますと、隣の部屋から水音が聞こえてくる。
和美がシャワーでも浴びているのかな?
そんな想像をしたとき、不意に大変な事を思い出した。

あっ!!!!

あのとき、確かあの時、私は何を考えたのか、和美の胸元にキスマークを付けてしまった!!
夢じゃないはず。 間違いない。 私は衝動的にやってしまった!!

シャワーを浴びているってことは、気付いちゃうよね・・・。
ど、ど、どうしよう・・・・。

落ち着け・・・、落ち着け・・・、聞かれた時にどう答える考えないと。

私はまず水を飲んで頭をスッキリさせようと思った。
台所へ行き、冷蔵庫を開け、ミネラルウォータを掴むと、脱衣所のドアが開く。
ふと見ると、トレーナーとGパンに履き替え、タオルで頭を拭いている和美と目があった。

「おはよ」

和美は少し驚いた表情で私に声をかけてきた。

「お、おはよぉ・・・。」

私の頭の中はパニックで、何をどう答えていいのか解らず、ぎこちない返事をしてしまう。
私のぎこちない返事をおかしく思ったのか、様子を伺うように和美は聞いてくる。

「昨日は結構飲んでいたけど、2日酔いとかになってない? だいじょーぶ?」

とりあえず普通に話しかけてくれている。どうやら避けられているような事はないらしい。
少し安心して、返事をする。

「う、うん、それは大丈夫。 少し頭は重いけど。 和美は大丈夫?」

「朋美の半分も飲んでないから大丈夫だよ。ただ、少し頭が重かったからシャワー浴びていたの。
 熱めのシャワーを浴びたらさっぱりしてスッキリしたよ。 朋美も使ったら?」

「あっ。う、うん、そしたらシャワー借りるね。」

私は逃げるようにシャワーを浴びに脱衣所へ移動した。
良かった・・・、和美に嫌われた訳じゃなさそう。

でも、和美は昨日の事をどう思っているのだろう・・・。 そう考えるとまた不安になる。
私は、熱めのシャワーを浴びながら、頭の中を整理していた。

昨日のキスの事を聞かれたらどうしよう。 キスマークの事を聞かれたらろうしよう。
自分の想いを打ち明けられたらどれだけ楽だろう・・・。

熱めのシャワーを頭からかぶりながら熱い蒸気に包まれて想いを巡らせる。

でも、それはダメ。
和美を失いたくない。 今和美を失うことは考えられない。

私はシャワーの蛇口を締め、最後に冷水をかぶり、目を一気に覚まして心を決める。

昨日の事を聞かれたら酔っていて覚えていない。

そう答える事にして、シャワーから出た。

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