『Cross roads』
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頭に和美の暖かい手を感じる。
とても優しく、壊れそうなものを優しく大事に包み込むように、私の髪に触れている。

あまりの心地よさに、今まで飲んできたワインの酔いが私の意識を遠くへ導く。
そして、私は安らかな眠りに意識を委ねた。



夢の中でも和美は私の側にいた。
優しく微笑み、私を優しく包んでくれた。

「朋美、いつでも、朋美だけを見ているから。 ずっと、これからもずっと。」

「和美・・・。」

私は夢の中で、和美に抱きしめられていた。

不意に、和美は私の体から離れ、肩を優しく揺らしてくる。

「このままだと風邪引くから、ちゃんとベッドで寝よう。」

遠くの方から、遠い声で、和美の声が聞こえてくる。
私は夢の中から、優しい和美の声で現実に戻された。

どうやら私は泣きながら寝てしまったようで。
抱きしめられていたと思ったあの暖かさは夢だということに気が付いた。

もう一度夢の中で和美に抱きしめられたい。
今ならとてもいい夢がみられそう・・・。

「うん、寝る。」

和美に支えられながら、ベッドに移動する。 和美は私がいつも泊まりに来る時に着ている
Tシャツとパジャマのズボンを私に渡して離れてしまう。

意識がまだ夢の中に半分あるように、ふわふわとしている。
言われた通りに、着替えをしようと思ったけれど、全身がワインのせいで火照っている。

体が熱い・・・。

衣服を脱いだ時、空気に素肌が触れ、それが気持ちいい。
私は無意識に体中の火照りから熱を取りたくて、洋服を全て脱ぎ捨てた。
下着姿でベッドに横になると、乾いたシーツがとても気持ちよく、そのまま眠りに引き込まれそうになる。

意識がまた落ち相になったとき、慌てて和美が近寄り、私の体を起こした。

「朋美! 朋美!!」

和美に揺り起こされながら、意識が少し戻るものの、シーツの冷たさ直に感じたくなり、
私は下着さえ邪魔になってきた。

「かずみぃ〜、暑いし苦しいからこれいらなぁ〜い、」

「うわっ、ちょ、ちょっと、ま、待ちなさい!!」

ブラジャーをはずしにかかろうとしたとき、頭からTシャツを無理矢理かぶせられた。
和美の慌て方が妙におかしく感じてしまい、言うとおりにおとなしく着替えさせられた。

Tシャツをかぶせられ、ズボンもはかされた。
身につけたTシャツとズボンは、ひんやりと冷たく、気持ちよかった。

目を閉じ、眠りの入り口を漂っていると、ふと和美が離れていくような気がした。
これは全部夢? そう思うと不安が込み上げてくる。 今目を開けると、全てが夢なのでは?

私は思わず目を開けると、ベッドから和美が立ち上がろうとしていた。

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