『Cross roads』
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=プロローグ=

その日、外は雨だった。
私は窓からその雨を黙って見ていた。

しばらくして、待ち人が店に入ってくる。
私の前に置かれた紅茶は、まだ暖かい香りを放っていた。

「急に呼び出して、一体何の話し?」

「こんな日に呼び出してごめんなさい。」

「だいたい言いたい事の予想は付くけど。 それで?」

「やっぱり無理みたい。 ごめんなさい。」

「別れたいってことか。 そっか・・・、やっぱりね。」

「ごめんなさい。」

「まぁ、別にいいよ。 最初からこうなる気はしていたしね。 正直あまりショックでもないから。」

「本当にごめんなさい。」

「そんなに気にしないでいいよ。 同じ事をこっちも切り出そうとしていたところだったし。
 実はもう、つき合おうって思っている子がいるしね。」

「・・・・・。」

私はそれ以上何も言えなかった。黙って下を向いていた。

ご注文は?と、店員が注文を取りにきたけれど、相手は、もう帰るところだからと言って断り
立ち上がって何も言わずに店を出ていった。

外はまだ雨が降っていた。




Cross roads

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