『Cross roads』
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=エピローグ=


「おはよぉ〜! 朋美、この間はありがとう! 本当に助かったよ。」

休み明け、すっかり体調が戻った和美は、晴れ晴れとした顔で朝から元気に私に声を掛けてきた。

「良かった、もう一人暮らしなんだから、無理しちゃだめだよ?」

あぁ、その元気な笑顔。 それだけで私の心は満たされる。
私もつられて笑顔で挨拶を返えす。

「さぁーて、今週も始まったねぇ。休んだ分の仕事が溜まっているだろうから、気合い入れますか!」

ん? 何か和美の雰囲気が変わった感じがする。
なんだろう、風邪を引く前のあの時の和美とは何かが違う。
あの少し淋しげで、どこか翳りのあった和美とは明らかに。

「和美、、、何か良いことあったの?」

私は思わず自分の疑問を投げかけて、和美の顔をのぞき込む。

「そうだね、良いことがあったといえば、あったかな? でも、内緒♪」

良いことがあた?? な、なに? 何があったっていうの??
こんな笑顔、あのお見舞いに行った時だってなかったっていうのに・・・。

「なにそれ、人にさんざん心配掛けておいて・・・。」

私がどれだけ不安になったり心配したのかなんてまったく気付かない和美に
思わず私は不満を顔に出して頬を膨らます。

「そんな顔しないの! 営業2課のマドンナがそんな顔しちゃいけません! ほら、行くよ!」

からかうように、和美は私の膨らんだほっぺをつつきながら、更衣室を出た。

ったく、一体何があったっていうのよ。 もう、信じられない!!

私は心でぶつぶつ文句をいいながらも、和美の後を追って更衣室を出る。
でも・・・、でも、和美が元気になったならそれでいいような気もする。

こうしてまた1日が始まる。
同じ1日を過ごすことはないけれど、和美が元気で、和美の笑顔があれば私はそれでいい。


いつまでも、和美と一緒にいられれば。
いつまで一緒にいられるか解らないけれど、少しでも長く一緒にいられたら。


ねぇ、和美、知ってる?
いままで多くの出会いという名の流れの中で、私が道に迷って流されていたことを。
それはまるで、スクランブル交差点。

どこへ流れていくのか、どこへ向かえば解らずにいたあの時、
和美が握ってくれたその手が、今の私を導いてくれたことを。


あなたとの出会いは、Cross roads
交差点の中であなたが私を見つけてくれた。
だからもう迷わない。 自分の気持ちにも、これからの自分にも。
あなたが掴んでくれたその手を、もう2度と離さない。

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