『Turning Point:年明け編』=夜明けの願い= |
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1月1日 AM 6:20 『ブ〜〜ンブ〜〜ンブ〜〜ンブ〜〜ン』 耳元で、何か変な振動音が聞こえる。 『ブ〜〜ンブ〜〜ンブ〜〜ンブ〜〜ン』 (なんだ? この音。 うるさいなぁ。) 音のする耳元を手で探ると、携帯電話が振動していた。 (あぁ、そうか。 アラームセットしていたんだっけ・・・、ってことは、もう朝?) 朋美を起こさないように、携帯のアラームをバイブ振動のみで設定していた。 目を擦りながら部屋の中を見ると、まだ薄暗かった。 布団から起きあがると、部屋は冷えきっていて空気が刺すように冷たい。 布団の上においておいたパーカーを羽織り、部屋のエアコンをいつもの設定温度より高めにして 運転ボタンを押す。エアコンは部屋が乾燥するから本当はあまり使いたくないけれど、 早く部屋を暖めたかった。 時計を見ると、6:30 確か、関東の初日の出の時間は、6:50くらいだったはず。 10分くらいで部屋は暖まるだろう。 静かに部屋の窓のカーテンを開ける。 確かベランダから朝日が見えたような気がした。 静かに窓を開け、ベランダに出ると、部屋よりも更に刺すように冷えた朝の空気に体が震える。 (こりゃ寒い・・・。 こんなんで出かけていたら、間違いなく風邪悪化していただろうなぁ) そんなことを思って外をみていると、薄暗かった空にほんの少し明るさが混じってきた。 (もうすぐかな?) 部屋に戻り、自分が寝ていた布団から毛布を取り出し、抱えながらベッドで寝ている朋美の様子を見る。 ぐっすりと寝ている朋美の額に手をあてる。 朝だからか熱はなさそうだった。 「か・・・、和美?」 額に手をあてられた事で、朋美が目を覚ましてしまった。 一度外に出て自分の手が冷えてしまっている事をすっかり忘れていた。 どうせ起こすつもりだったからいいけれど、少し申し訳なく思ってしまった。 「朋美起きてる? もうすぐ日の出だよ?」 「ん〜、、、えっ? 日の出??」 「ほら、初日の出に願掛けするんでしょ? 一応ベランダから見えるから。早くしないと見逃すよ?」 「えっ? えっっ??」 朋美はびっくりして飛び起きる。 部屋はエアコンで暖まっていたからそう寒さは感じなかったらしい。 パジャマのままでベランダに出ようとしている朋美に背後から慌てて抱えていた毛布をかぶせた。 「えっ??」 「少しみっともないけど、薄着で外出ると風邪引くから、我慢して毛布被ってね。」 「あ、ありがとう。」 少し驚きながらも、笑顔で朋美は答えた。 ベランダに出ると、ちょうど日が昇り始めた。 「間に合ったね。」 「うん、ありがとう。」 「ほら、願掛けするんでしょ?」 「う、うん。」 恥ずかしそうに返事をすると、朋美は朝日の方向に体を向け、目を閉じそっと何かを祈っている。 しばらくの間、だまって見ているしかなかった。 何を願い、何を祈っているのだろう。 健気に、静かに祈りを捧げている朋美の横顔を見ながら、私も心の中で願いを呟く。 (朋美が想いが、いつか想い人に届きますように。) 「クシュン!」 真冬の早朝の外気は冷える。 パジャマに厚手のパーカーを羽織っていたけれど さすがに少しからだが冷えてしまい、思わずくしゃみをしてしまう。 朋美が私のくしゃみに気付いて、思わず振り返る。 「和美、大丈夫?? 寒いんじゃない?」 「ごめん、ごめん。 大丈夫だよ。 でも、さすがに外は寒いから、そろそろ部屋に戻らない?」 「ごめんね、私だけ暖かい格好してて。 すっかり体冷えてるんじゃない?」 そう言うと、朋美は何を思ったのか、羽織っている毛布ごと私の背中に抱きついてきた。 「ちょ、ちょっと!!」 「ほら、こうすると寒くないでしょ?」 私の背中に抱きついてきた朋美は、私の腕ごと包み込み前で腕を交差させ、私の肩口に顔をそっと寄せている。 背中に薄手のパジャマ越しの朋美のしなやかな体の曲線を感じ、意識してしまう。 密着した背中と、体に回された腕の辺りと、顔を寄せられた肩口が熱い。 「和美、体がすっかり冷えちゃってる。」 「だ、大丈夫だよ。」 思わず声がうわずってしまう。 鼓動が耳元で激しく鳴り響いている。 「ん〜、和美の体、暖かくなってきた。」 「暖かいっていうよりも、暑くなってきたんだけど・・・。」 これ以上この状態で密着しているのが耐えられなくなってきて、思わず思ってもいない事を口にだす。 本当は、ずっとこうしていたいのに。 本当は、ずっと、ずっと、このままでいたいのに。 「そう? 私は暖かくて気持ちいいよ〜♪」 「あぁ〜、こら、顔を擦り寄せないで! くすぐったいっ!!」 おもしろ半分に、朋美が頬を私の耳元に擦り寄せる。 くすぐったくて、ドキドキして、ゾクゾクっとしてしまい、思わず身を縮めてしまう。 「ねぇ、和美。」 急に声のトーンが下がり、少し静かな声で朋美が呟く。 「んー? なに?」 「今年がいい年になるといいね。」 「そうだね。 いい年だといいね。」 「ねぇ、和美・・・。」 一際小さくなった声で、朋美が私の名前を呼ぶ。 「んー?」 「なんでもない。」 朋美は自分の額を私の肩に擦り寄せる。 「どうした?」 「んーーーー。 あのさ、和美・・・。」 更に声が聞き取りにくいほど小さくなっている。 「なに?」 私の背中に頭を寄せながら、消え入るような声で呟く。 「今年もずっと一緒にいようね。」 その声があまりに小さくて、弱々しくて。 朋美がなにか心細そそうで。 「もちろん。」 (ずっと、ずっと一緒にいるよ。) 回された朋美の細くしなやかな手の上に、優しく安心させるようにポンポンと手を重ねる。 「ん、ありがと。」 安心したのか、回していた腕に力を入れて少し強く抱きしめてくる。 「と、朋美・・・、少し、く、苦しい・・・。」 回された手が、気がつくと首に回っていて、本当に少し苦しかった。 「ごめん、ごめん。」 嬉しそうに顔を私の頬に擦り寄せながらも、腕の力を緩めてくれない。 「ちょ、ちょっと〜、もう、朋美! ほら、もういい加減中に入るよ!」 「うん。」 ふざけながら、私の背中に負ぶさるようにして甘えてくる。 そんな朋美が可愛いと思うのは、惚れた弱みからなのか。 重い・・・と不満を言いながらも、背中に感じる朋美の温もりをいつまでも感じていたかった。 朋美が何を願っていたのかは解らないけれど、それでもこうして一緒にられるだけでいいと思う。 「今日願ったことが叶うといいね。」 朋美に聞こえない程度に小さな声でそっと呟いた。 −おわり− 【あとがきと言うなの言い訳】 最近すっかり書いてませんでしたが、久しぶりの短編ってことで。 一応、Turning Pointのお正月編です。(愛しきロクサーヌの後になります。) はい、今回も少し自分の願望入ったシュチュエーションやっちゃいました。 背後から毛布と一緒に抱きしめられるなんて、あぁー、いいなぁ〜なんて。(あふぉーです) クリスマス編の続編ってことで、今回も和美は朋美と一緒のベッドで寝ることを 遠回しに避けている訳で。 まぁ、薄々朋美も気付いているってところでしょうかねぇ。 背後から抱きしめてくるなんて、もう愛情以外のなにものでもない!!って思うかもですが、 親しい女友達だと、これくらいのスキンシップって良くあるんですよー。 なので、この程度で”もしかして気があるのかも?”なーんて思うと痛い目に遭います。(はい?) 何を書いているのかわからなくなりましたが、気にしないでください。 本当にやっつけで書いてしまったので、内容が中途半端な所はご容赦を。 |