告白【クリスマス編】
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【おまけ:クリスマス編 その1】※これは、中編小説【告白】の続きの話しになります。 まだ読んでいない場合はそちらからどうぞ。

12月24日 PM5:00

有希と一緒に新宿の街を歩いていた。
日本でクリスマスを迎えるのは5年ぶり。
そして、有希とこうして一緒に過ごすクリスマスは初めてだった。

「有希、寒くない?」
「うん、大丈夫。 それにしても、さすが人が多いねぇ。」

クリスマスイブということもあり、新宿の街は人が多く、歩いていると
すれ違い様に人と肩が当たってしまったり、押されたりしてしまう。

「新宿に出ない方が良かったかな。」
あまりの人混みについ愚痴をこぼしてしまう。

「まぁ、これも風物詩だと思えば。 それに、奈美と一緒にこうして過ごせるだけで嬉しいし。」

有希はそう言うと、私の手を握りながら、嬉しそうに私に微笑んでくる。

普段なら、こうして手を繋ぐことは、人目を気にしてしまってなかなかしないけれど、
今日は人が多いことと、そして新宿という街だったので、かまわず指を絡めながら手を握った。

「ねぇ、どこに行くの?」

有希が歩きながら今からどこへ何しにいくのかを聞いてくる。

「有希のクリスマスプレゼントを買いに行きたいんだけど。 どう?」

「えっ? そんなのいいよ。 奈美と一緒にクリスマス過ごせるだけでいいのに。」

「それじゃ、今日の記念を2人で買いに行くっていうのはどう?」

「うん、それならいいよ。」

有希は握った手を握り返して笑顔で答えてくれた。

そして、2人でデパートへ行き、アクセサリ売場へと向かった。

2人でいろいろ見たけれど、何にするか悩んだ。
ペアの指輪っていうのにも惹かれたけれど、他になにかないかなぁーと思っていた時、
有希がガラスケースの一点に視線を集中させている姿が目に入った。

「何かいいものあった?」

そう聞くと、慌てて視線を逸らして

「う、ううん、 な、なんか、迷うよねぇ。」

明かになんか隠しているような態度をする有希。

「何見ていたの?」

そうやってガラスケースをのぞくと、小さなダイヤとサファイアが2つ連なっている
可愛いピアスがあった。


「これ、綺麗だね。 有希これ気に入ったんじゃないの?」

「えっ、いや、そんな事はないんだけど・・・。」

有希はこれを見ていたハズなのに、どうして素っ気ないフリをするんだろ?と思っていると
そのピアスの値段が目に入った。

『4万2千円』

なるほど、微妙な値段だなぁ。 きっと、今日の記念にしては高いと思ったのかな。
でも、よくよく考えると、ダイヤは4月の誕生石。 有希は4月生まれだし、
サファイアは9月の誕生石。 私は9月生まれ。

私と有希の誕生石が入ったピアス。 でも、これを2組買うとなると、ちょっと予算オーバーかぁ。
色々考えているうちに、良いことを思いついた。

「有希、他に何か気に入りそうなものがあるか、探してみてくれる?」

そう言うと、有希は、「うん、それじゃ、あっちみてるね。」と、この場から離れる事に
ホッとしながら、隣の売場へと移動していった。

「すみません、このピアスください。」

私は有希が別の売場にいることを確認しながら、このピアスを買った。

「おまたせ、そっちに何かいいものあった?」

ピアスをこっそり購入した後で、何事もなかったように、有希に話しかける。

「うーん、なんか迷っちゃって。 奈美は、気に入ったものないの?」

「んー、なんかあんまりピンと来る物がなくてねぇ。」

「そっかー。それじゃ、他の店に行く?」

そう言う有希の手を取り、店を出た。

外に出ると、人の多さがさらに増していた。

「すごい人だね。 これか、次の店行くのにも一苦労だね。」

そう有希に言うと

「ねぇ、記念品はまた今度にして、今日はもう帰らない?」

有希は、自分のマンションに帰ろうと促してきた。

今日は、新宿で買い物をした後で、どこかで夕食を取るつもりだったけれど、
この人の多さを見ると、食事をするのも予約してなかったら一苦労しそうな感じだった。

「そうだね。 この人の多さじゃ、何か食べるのも一苦労しそうだね。 まずは帰ろうか。」

結局、有希のマンションへに帰る事にした。